中国人民銀行（中央銀行）の戴相竜元総裁は３１日、６月末に日本で実施が見込まれる米中首脳会談について、通商に関して大きな進展は予想していないと述べた。

前場の東京株式市場で日経平均株価は前営業日比１６１円７７銭安の２万０７８０円７６銭となり、続落した。トランプ米大統領がメキシコからのすべての輸入品に関税を課す考えを示し、リスク回避姿勢が強まった。中国の製造業購買担当者景気指数（ＰＭＩ）が予想を下回ったことも投資家心理を冷やし、一時２７０円まで下げ幅を拡大。ザラ場ベースで２月１２日以来約３カ月半ぶりの安値を付けたが、その後、底堅く推移した上海株が安心材料となり下げ渋った。

麻生太郎財務相は３１日午前の閣議後会見で、米国の為替報告書で日本が監視対象に指定されたことに関連し、６月に福岡市で開かれる２０カ国・地域（Ｇ２０）財務相・中央銀行総裁会議でこの問題についてムニューシン米財務長官と協議する予定ないと語った。

総務省が３１日に発表した４月の完全失業率（季節調整値）は２．４％となり、前月の２．５％から改善した。低下は２カ月ぶり。厚生労働省が発表した４月の有効求人倍率（季節調整値）は１．６３倍で、前月と同水準だった。

経済産業省が３１日発表した４月鉱工業生産指数速報は前月比０．６％上昇となった。２カ月ぶりの上昇。ロイターの事前予測調査では前月比０．２％上昇が予想されており、予想を上回った。

米ニューヨーク連銀は、米連邦準備理事会（ＦＲＢ）が１０月から、政府機関債と政府機関発行の住宅ローン担保証券（ＭＢＳ）の一部償還元本を米財務省証券に再投資すると発表した。

米アパレル小売大手ギャップの第１・四半期（５月４日まで）決算は、既存店売上高が予想以上に減少した。通期利益見通しも下方修正し、ギャップの株価は引け後の時間外取引で１１％超急落した。

終盤のニューヨーク外為市場でドルは小動きとなった。米中貿易摩擦を受け、ドルを含む安全資産に資金を移す動きにつながり、月間で４カ月続伸の勢いだ。

米国株式市場は底堅い展開となった。ただ、トランプ米大統領や中国政府の貿易摩擦を巡る発言が相反する内容だったことを受け、上値は抑制された。

米連邦準備理事会（ＦＲＢ）のクラリダ副議長は３０日、米経済は「良好な状況」としつつも、インフレ低迷が根付く兆候や経済へのリスクが顕在化すれば、ＦＲＢは政策を調整する用意があるとの見解を示した。