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ニュース見出し
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2008-10-28 0:05
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ロシア頼みのドイツ経済(BusinessWeek)
ドイツのメルケル首相は、親ロシア派として知られるわけではないが、10月2日にサンクトペテルブルクで開催されたロシアのメドベージェフ大統領との会談には、それは穏やかな態度で臨んだ。ロシアのグルジア侵攻は「適切ではない」としつつもそれ以上の言及は避け、ネヴァ川に浮かぶ船上での長時間の大統領晩餐会を楽しんだ。
メルケル首相が友好的態度に急遽路線変更したのは、ドイツとロシアの複雑に絡み合った経済の表れと言える。
高級車から機械、食品に至るまで約4600のドイツ企業がロシアに進出、7万人の雇用がロシアビジネスに依存している。ドイツはロシアの最大貿易相手国で、今年上半期の2国間の貿易額は450億ドルに上る。
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2008-10-27 0:22
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欧州、実体経済が急減速(FINANCIAL TIMES)
金融危機の影響が、欧州全域であらゆる業種に広がっている。
米国より不況は長引くとの観測。人員削減や設備投資抑制も始まった。
優良企業でも資金調達に苦慮。長期戦略より目先の生き残り策が焦点に。
陽光の降り注ぐスペインのリゾート地、マジョルカ・バレアレス諸島は、欧米の資本市場を襲っている金融危機とは無縁の存在に映るかもしれない。だが長年観光事業に携わってきた同地の大手ホテルチェーン共同経営者、カルメン・リュウ氏は「島で30年暮らしてきて、これほど先行きに不安を感じたことはなかった」と話す。
数千km離れたボルガ川流域には、「ラーダ」ブランドを擁するロシアの自動車最大手アフトワズの工場群がある。
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2008-10-24 0:16
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泣く子も黙る怖い不動産会社(世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」)
かつて中国で“温州購房団”(=「温州不動産買付団」)と聞けば、泣く子も黙ると言うほどに恐れられる存在だった。後に“温州炒房団”(=「温州不動産投機団」)と呼ばれた彼らは、中国全土の大中都市に集団で乗り込み、手当たり次第に不動産を買い付けたから、彼らが買い付けを行った都市ではオフィスビルやマンションといった不動産の価格が急上昇した。
温州不動産買付団(以下「温州買付団」)が、どこそこの都市で不動産を買い付けたという情報が流れると、不動産価格の高騰に便乗して一儲けしようとする輩が必ず現れて「提灯買い」(=他人の取引をまねして相場をはること)をするので、不動産価格はさらに高騰する。不動産価格が上昇すれば、儲かるのは不動産業者であり、泣きを見るのはマンションを買いたくても買えなくなる庶民である。
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2008-10-22 0:35
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英国、迷走から英断へ(FINANCIAL TIMES)
昨年以降、金融システムの崩壊を前に英国の金融当局は不器用な素人のように迷走してきたが、遅ればせながらついに正しいことをやってのけた。
アリステア・ダーリング財務相は8日、銀行に最大4000億ポンドの資本注入をすると表明した。ゼロの数以上に、示された政策パッケージがこれまでほかの欧米諸国が発表した救済策のどれよりもまっとうであったことが驚きだった。
英国の官僚はついに過去、とりわけ1990年代の日本やスウェーデンの危機から正しい教訓を導き出した。さらに重要なのは、英国の対応が米国に政策の見直しを促す可能性があることだ*1。
英国の動きを歓迎すべき理由は少なくとも3つある。まず米国に先んじて、これほど深刻な危機においては優先株の購入を通じて銀行に資本注入する方が、不良債権の買い取りよりも有効という事実を認めたことが大きい。
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2008-10-21 0:07
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米ディーラー激減は朗報?(BusinessWeek)
オレゴン州のゲイリー・マクマナス氏(74歳)はフォード・モーターの「リンカーン」「マーキュリー」を50年売ってきた。人気が落ちたブランドとはいえ、同氏の自動車販売店「ゲイリー・ワース・リンカーン-マーキュリー」は毎月50台は売っていた。だが、今春以降の景気減速と信用収縮で月12台売れれば御の字の状態に陥り、仕方なく販売権をフォードに売却、フォードは別のディーラーの販売権と統合した。「販売が投資に見合わなくなった」と嘆く同氏は、「引退しようと思う」と語る。
販売不振と信用収縮により、米ビッグスリーがディーラー削減という何年もやりたくてもできなかったことが実現している。9月にはディーラー数社が倒産。
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2008-10-21 0:07
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金利政策で出遅れた日本(吉田鈴香の「世界の中のニッポン」)
10月に入って日経平均が1万円を割った後、乱高下を繰り返している。米国のダウ株価平均も4年ぶりに1万ドルを割り、次に円高がやってきた。収益の予想を下方修正する企業も相次いでいる。株価下落と円高を貫く金利に、筆者は“攘夷”の心を感じるのである。
ドル金利と一定の差を維持してこそ為替安定
通常、金利を上げると円高に振れ、下げると円安になる。今回の金融危機で、日銀は金利を一切いじっていない。世界の株価が下落した10月8日、欧州と米国を含む10の中央銀行が協調利下げをした時も、日銀は動かなかった。また中川昭一財務・金融担当大臣はG7財務相・中央銀行総裁会議を終えた後もまだ、具体的な市場安定化策を発表しなかった。
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2008-10-20 0:54
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金融危機が欧州に本格上陸(FINANCIAL TIMES)
米国以上に銀行への依存度が高い欧州経済への打撃はより深刻だ。
財政状態の相違から、各国の政策対応にはバラツキが出る可能性がある。
介入主義台頭の恐れがあるが、欧州には規制緩和や自由競争が不可欠だ。
9月28日からの1週間、米国発の金融危機が欧州を襲った。わずか数日のうちに金融機関が5社も破綻し、10月3日にはフランスがついに景気後退入りを認めた。こうした中で4日、英独仏伊4カ国の首脳会合が急遽パリで開かれた。この会合をもって「米国発の嵐は乗り越えられる」という欧州の楽観論は、終焉を迎える。
最近の米国金融業界の動乱で、体力の弱い金融機関の資金調達力への懸念が世界中でパニックを引き起こし、欧州では相次いで大手銀行が救済される事態となった。
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2008-10-18 0:08
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フォードのマツダ株、買い手は日本企業?(BusinessWeek)
Ian Rowley (BusinessWeek誌、東京支局特派員)Nandini Lakshman (BusinessWeek誌、インドビジネス担当記者)
米国時間2008年10月13日更新 「Ford Still Shopping Mazda Stake; Tata Uninterested」
近頃、自動車ブランドが売りに出されると、買い手候補として必ず名前が挙がるのがインドのタタ・モーターズ(TTM)だ。
今年6月には、米ゼネラル・モーターズ(GM)の大型SUV(多目的スポーツ車)ブランド「ハマー」の売却を巡り、交渉相手として報じられたのが、タタとその競争相手でインドのトラクターメーカー最大手のマヒンドラ・マヒンドラ(MAHM.BO)だった(BusinessWeek.comの記事を参照:2008年6月6日「Tata, Mahindra to Buy GM's Hummer?」)。
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2008-10-17 0:43
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米政府、25兆円の公的資金注入の意図(BusinessWeek)
Jane Sasseen (BusinessWeek誌、ワシントン支局長)
Theo Francis (BusinessWeek誌、ワシントン支局記者)
米国時間2008年10月14日更新 「Paulson's $250 Billion Bank Buy」
10月14日、ヘンリー・ポールソン米財務長官は金融業界を救済し、委縮する信用市場の機能を回復するための新たな段階の対策を発表した。先般の金融安定化法で米議会が認めた公的資金予算枠7000億ドルのうち2500億ドル(約25兆円)を使い、金融機関の上位優先株を取得する資本注入策だ。
この発表前日、ポールソン長官は米大手金融機関6社の経営者を集め、財務省の資本注入策に対する“自主的”賛同を促していた。
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2008-10-17 0:43
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怒りのマンションオーナーたち〜安売りを始めた業者に抗議活動(世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」)
2008年9月4日午後1時頃、浙江省の省都・杭州市の中心部にある“万科杭州”(正式名称“浙江万科南都房地産有限公司”)の販売展示センターに100人以上のマンションオーナーたちが押し掛けた。彼らは「2カ月で20万元(約300万円)の値下がり、万科は血を流さずに人を殺す」「万科は建物で我々を苦しめる」「万科のマンションを買って一家は地獄の生活」といったスローガンを書いた横断幕を掲げ、口々にマンション売買契約の解除を要求した。彼らは前日の3日も万科杭州のマンション開発事業である「魅力の町」に数百人規模で集まって、マンション住民たちに万科杭州の不当性と契約解除を訴えていたのだった。
9月3日、万科杭州は売れ残り物件の販売促進と「青年不動産オーナー計画」の推進という名目で、杭州市内にある同社の4大開発物件でマンション226戸を最大値引き25%で優遇販売すると発表し、「魅力の町」では用意した80戸を即日完売する勢いを見せた。
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2008-10-16 0:33
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米財務長官の素顔(FINANCIAL TIMES)
米ゴールドマン・サックスCEO(最高経営責任者)から米財務長官に転じたヘンリー・ポールソン氏(62歳)にとってこれまで、交渉をまとめることが悩みの種だったことはなかった。
ところが今回は、最大7000億ドルの公的資金で金融機関から不良債権を買い取ることを柱とする金融安定化法案*1を議会に認めさせるため、必死の手段に出た。民主党のナンシー・ペロシ下院議長の前に平身低頭、ひざまずいたのだ。ペロシ議長は「あなたがカトリック信者だとは知らなかったわ」とからかった(ポールソン氏はカトリック信者ではなく、絶対禁酒を掲げるクリスチャン・サイエンスの熱心な信者である)。
2ページ半の草案が軋轢生む
1907年の金融危機を食い止めるために、当時70歳だったJ・P・モルガン氏が乗り出して以来、もっと言えば、1792年にアレクサンダー・ハミルトン初代財務長官が国債の購入資金を借りることで銀行の安定を図って以来、金融危機を収束させるために、これほど金融関連の権力を1人の人間が掌握しようとした例はない。
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2008-10-15 0:07
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OPECの内部対立再燃(BusinessWeek)
サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコのマーケティング担当幹部は、月末が近づくと決まってエクソンモービルやロイヤル・ダッチ・シェルなどの大手石油会社に電話をかけ、石油の必要量と希望価格を打診する。価格が決まると、世界中の80に及ぶ顧客に希望購入量を聞き、翌月10日までに割当量を通知する。
石油輸出国機構(OPEC)は加盟国に産油量を割り当てるが、サウジをはじめ一部の主要産油国の生産量は世界の需要を満たすという名目で、割当量を超えることも多い。ここへきてOPEC内では、原油価格を抑えようとするサウジなどと、高値を維持しようとするイランなどの国々の間で綱引きが激しくなっている。「サウジとOPECの関係は価格次第。
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2008-10-14 0:37
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米国流自由主義の落日(FINANCIAL TIMES)
米国政府は金融界と結びつき、貿易と金融の市場開放を一括で広めてきた。
今回の金融危機を受け、自由化のあり方を見直す機運が高まっている。
自由主義の旗振り役はシンガポールや香港に引き継がれる可能性もある。
8年前の大統領選の最中、ジョージ・ブッシュ現大統領はライバルのアル・ゴア氏との討論の場で、世界に対する斬新で謙虚な姿勢を示した。「『これがあるべき姿だ』と世界中に説いて回るのが米国の役割なのか疑問だ」と当時ブッシュ氏は語った。「よその国に立ち入り『米国がこうしているのだから、貴国もそうすべきだ』と言うのが米国の役割だろうか」。
ブッシュ氏の考えはある分野において実現しそうだが、それは彼の意図したようなあり方ではないかもしれない。
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2008-10-10 15:27
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中国経済、急減速の兆し(BusinessWeek)
Frederik Balfour (BusinessWeek誌アジア特派員、香港)
米国時間2008年10月2日更新 「China's Economy Sputters」
10月1日の国慶節(建国記念日)を祝う“黄金周(ゴールデンウイーク)”は、中国人が毎年楽しみにしている時期だ。だが、この1週間の連休も明け、晴れ晴れとした気分はすっかり吹き飛んでいるに違いない。
世界各国が金融危機に苦しむ中、中国も少なからぬ問題を抱えている(BusinessWeekチャンネルの記事を参照:2008年9月24日「上海株式市場、下落続くも怖れなし」)。不動産市場は暴落を続け、株価も60%近く値下がりしている。
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2008-10-10 0:17
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役人は早々と危機を回避、泣きをみるのはいつも庶民(世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」)
「残暑」を中国語で“秋老虎”と言う。“老虎”は「トラ(虎)」を意味するので、“秋老虎”を直訳すると「秋のトラ」という意味になる。「秋のトラ」がどうして残暑を指すのか、その語源は分からないが、秋だというのにトラと同様に恐ろしいほどの暑さということなのかもしれない。湖南省西北部に位置する吉首市は、湘西土家族苗族自治州(以下「湘西自治州」)の首府で、人口約30万人の小都市である。2008年8月24日に北京オリンピックが成功裏にその幕を閉じてから10日目の9月3日、吉首市の中心部は“秋老虎”を凌(しの)ぐほどに熱い人いきれに包まれていた。
「出資者には5年以降に出資金を返還するが、今後金利は支払わない」
9月3日、吉首市の不動産開発企業である“福大房地産開発有限公司”(以下“福大”)が出資者たちに約束していた金利の支払いができないことが判明し、「出資者には5年以降に出資金を返還するが、今後金利は支払わない」との噂が流れた。
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2008-10-9 0:58
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金融危機だけではない〜一歩間違えばイラク危機は再燃する(世界鑑測 菅原出の「安全保障・インサイド」)
世界の注目はすっかり米金融市場の混乱に向けられ、米大統領選挙の候補者間の討論の主題も、すっかり金融政策に独占されてしまった感がある。サラ・ペイリン共和党副大統領候補にいたっては「イラクでの勝利」を連発し、もはやイラク戦争は遠い過去のものとして忘れ去られてしまったかのような錯覚にすら陥る。しかし、イラクの治安は本当にこれで安定化に向かうのだろうか。
イラク情勢をみるアナリストたちが注目していること
イラクの治安関係者やイラク情勢を注意深く追うアナリストたちの間では、10月1日にまた一つ重要な権限が米軍からイラク政府に移譲されたことに注目が集まっている。その行方次第でイラクが再び内戦の危機に見舞われる危険性があるからである。
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2008-10-9 0:58
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「今回の危機は根深い。でも、チャンスだ」(世界鑑測 田中保春の「サウジ・新潮流」)
世界中の株式市場が急落している。中東湾岸産油国の株式市場も9月に入り大幅な下落が続いている。アラブ市場最大の時価総額を持つサウジアラビアの株式市場も9月に20%下落、9月27日の株式指数(TASI)はついに7000ポイントの大台を割り込んだ。イード休暇明けの10月6日には10%近く下落、翌日7日には取引開始数分後に10%近く下落、ザラ場はサビックなどの大手石油化学株や銀行株が軒並みストップ安となり、上場株のほとんどすべてがマイナスとなった。10月7日現在、サウジ株式指数は年初来で43%も下げている。
サウジアラビアでは国民の大半が株式投資家であることから、株価下落は今年後半に入り個人消費や旅行などにも影響を与えている。
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2008-10-7 0:15
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新JICA発足、目的と財源は不明確なまま(吉田鈴香の「世界の中のニッポン」)
10月1日、新たに独立行政法人国際協力機構(JICA)が発足した。これまでのJICAと、政府系金融機関である国際協力銀行の中の円借款部門(海外経済協力業務)とを統合してできた組織である。1989年からODA(政府開発援助)を含む国際協力の取材を始めた筆者にとっても、長年交流があった2社が統合するという事態には、感慨深いものがある。
この20年間、国際協力と共にあった筆者だが、その間に筆者自身のODAを見る目や求めるものが、大いに変化してきた。前世紀(2000年頃)まで筆者は、国民の血税を原資にODAを行う限りは、現地における日本の存在感を最大化させるべきだ、と主張していた。
実際に、発展途上国の政府機関の廊下を歩けば支援しているドナー国の国旗シールが張られていたり、道路工事をした跡地に石碑が建てられたりしていた。
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2008-10-6 0:00
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岐路に立つ米国型資本主義(FINANCIAL TIMES)
米国でわずか2週間のうちに「金融の社会化」が一気に進んだ。
政府は “簿外債務”であった金融業を公会計に含めることになる。
FRBの独立性維持が焦点に。納税者の負担増は避けられない。
わずかここ2週間で、世界の金融市場の様相は激変した。ブッシュ政権は金融業界に対する数十億ドル規模の救済措置を取りまとめたが、それは米国型自由市場資本主義そのものを大きく損なうものだ。この結果、ウォール街のみならず、世界中の金融機関にかつてない規模の資金援助をすることになる米国の納税者は、莫大な負担を強いられることになる。
異例の「金融業の社会化」につながった一連の危機は、米国の住宅金融市場の心臓部であった政府系住宅金融会社、連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の実質国有化で幕を開けた。
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2008-10-3 0:38
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「富める者」を教育せよ(世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」)
2008年9月24日、中国共産主義青年団(略称:共青団)が発行する全国紙「中国青年報」は、南京大学教授の潘知常の「厳重的問題是教育“富人”」(=重大な問題は富める者を教育することである)という論文を掲載した。
「先に豊かになった」人に物申す
潘知常は南京大学“新聞傳播学院”(=新聞報道学部)の有名教授であるが、過去に一度ならず論文の盗用が指摘され、南京大学から懲戒処分を受けたことのある人物である。そうした意味の著名人がこのような精神論的な論文を全国紙に堂々と発表するということ自体にも、筆者は興味津々なのだが、それはさておき、潘知常の論文を抄訳すると次の通りである:
2008年は中国の改革開放[註1]から30周年に当たるが、私は講義や講演を行う際に、常に1つの質問をしている。
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