アメリカ発の金融危機が世界的な広がりを見せるなか、ドイツの自動車メーカーが工場の一時操業停止など生産調整の動きを強め、金融危機の影響はヨーロッパの実体経済にも波及しています。

アメリカの中央銀行にあたるＦＲＢ＝連邦準備制度理事会のバーナンキ議長は、金融危機の影響でアメリカ経済の低迷は長期化し、今後の見通しも悪化しているとして金融政策を見直し金利の引き下げも検討する考えを示しました。

アメリカの中央銀行にあたるＦＲＢ・連邦準備制度理事会は、金融危機で金融市場の資金が滞っている問題に対処するため、企業が発行する社債を買い取る制度を新たに設けると発表しました。

ＩＭＦ＝国際通貨基金は、アメリカのサブプライムローン問題をきっかけとした世界の金融機関の損失があわせて１兆４０００億ドル、日本円にしておよそ１４３兆円に上るという見通しを発表し、各国の金融当局に対し銀行に資本を注入するなどの積極的な関与を求めました。

ニューヨーク株式市場は、アメリカの金融危機が世界経済を一段と悪化させることへの懸念が強く、平均株価は５００ドル以上値下がりして終わり値は５年ぶりに９５００ドルを割り込みました。

日経平均株価が一時、１万円を割り込むなど世界的な株安の連鎖に歯止めがかからないなか、株式を運用している年金への影響が懸念されています。

７日のヨーロッパの株式市場は金融不安の影響から値下がりしていましたが、ヨーロッパの各国政府が効果的な対策に乗り出すのではないかという期待から、ロンドンやフランクフルトなど主な市場では株価は値上がりに転じています。

ニューヨーク株式市場は、ＦＲＢ・連邦準備制度理事会が企業が発行する社債を買い入れると発表したことを受けて、金融市場の混乱がいくぶん緩和されるという見方が広がったものの警戒感も根強く、平均株価は小幅な値動きとなっています。

７日のアジア各国の株式市場は、上海や台北で、一時、大幅な値下げを記録したものの、その後は軒並み値を戻し、６日の終わり値の水準まで回復しました。

アメリカ発の金融危機がヨーロッパにも波及するなか、世界の市場では、金融機関や企業などに資金が回りにくくなる「信用収縮」に対する不安感が広がり、株価や実体経済に影を落とし始めています。