日銀の白川総裁は、３１日、記者会見し、政策金利の引き下げに踏み切った理由について、世界経済の減速や急激な円高や株安によって、日本経済の先行きに不確実性が高まっているためだと述べました。

３１日の東京株式市場は、日銀が政策金利の引き下げを決めた背景を見極めたいという空気が市場に広がるなか、三連休を前にとりあえず利益を確保しようという売り注文が膨らんで、日経平均株価は大幅に値下がりし、再び９０００円を割り込みました。

日銀は、３１日に開いた金融政策決定会合で、世界的な金融危機の拡大で日本経済が悪化するのを食い止めるため、政策目標としている短期の市場金利を、現在の年０．５％から０．３％前後に引き下げることを、白川総裁の議長判断で決めました。

金融機関に予防的に公的資金を投入できるようにする金融機能強化法の改正案をめぐる衆議院の委員会審議が行われ、中小企業の代表者が、年末に向けて資金繰りが苦しくなることが予想されるとして、法案の速やかな成立を求めました。

日銀は、現在開いている金融政策決定会合で、金融危機の拡大による世界経済の減速が日本経済に大きな影響を及ぼすおそれが強まっているとして、政策金利の引き下げなど、金融面からの景気の下支え策について詰めの協議を行っており、まもなく判断が示されます。

トヨタ自動車は、北米市場での販売の落ち込みからアメリカでの生産を停止していた大型車２車種について、中東や南米に輸出することで１１月から生産を再開することを明らかにしました。生産量を維持して収益の落ち込みを防ぐねらいがあるものとみられています。

金融危機などの影響で株価の乱高下が続いていることから、東京証券取引所は、上場企業の時価総額が一定の額を下回った場合に上場を廃止するといった基準の適用をことしいっぱい停止する異例の措置を決めました。

３０日のニューヨーク株式市場は、この日発表されたアメリカの７月から９月のＧＤＰ・国内総生産について、マイナス成長に落ち込んだものの事前の予想ほどには悪くなかったと受け止められ、平均株価は値上がりしました。平均株価の終わり値は前日より１８９ドル７３セント高い９１８０ドル６９セントでした。

日銀は３１日、金融政策決定会合を開き、金融危機の拡大による世界経済の減速が日本経済に大きな影響を及ぼす懸念が強まっているとして、政策金利の引き下げを焦点に金融面からの景気下支え策を検討します。

３０日の東京外国為替市場は、アメリカの金融当局が政策金利を引き下げたことでアメリカ経済の先行きに対する不安がいくぶん和らぐという見方に、このところ急激に値上がりした円を売って当面の利益を確保しようという動きが加わり、円相場は２円近く値下がりしました。