３０日の東京株式市場は、アメリカの議会下院で金融安定化法案が否決されたことを受けて、金融危機の連鎖に歯止めが掛からないという懸念が強まり、全面安の展開となっています。日経平均株価は大きく値下がりして取り引き時間中のことしの最安値を下回っています。市場関係者は「アメリカの金融危機が収束せず、金融機関の経営悪化が世界的に広がって、実体経済にも悪影響が広がるのではないかという懸念が一段と強まっている」と話しています。

アメリカの金融安定化法案が議会で否決されたことを受けて、中南米最大のブラジル・サンパウロの株式市場でも株価が急落し、取り引きが一時、停止される事態となりました。

アメリカ政府の支援で経営破たんを回避したアメリカの保険最大手「ＡＩＧ」のグループ傘下の生命保険会社「アリコジャパン」は、保有するＡＩＧ株の急落で財務体質が悪化したとしておよそ１０００億円の資本増強を行って経営基盤の強化を図る方針です。

大手金融グループの「三菱ＵＦＪフィナンシャル・グループ」は金融危機で、株価が急落しているアメリカの大手証券、「モルガン・スタンレー」の株式の２１％を９０億ドル、日本円にしておよそ９５００億円で取得することで正式に合意しました。

日銀は２９日夜、世界の主要な中央銀行と協調して金融市場に供給するドル資金を倍増することを発表しましたが、アメリカの金融危機が一段と深刻化するなかで、市場の安定化にどこまでつながるかが注目されます。

日銀は２９日夜、アメリカやヨーロッパなど各国の主要な中央銀行と緊急の共同声明を発表し、アメリカの金融危機が一段と深刻になり、欧米の金融機関の資金繰りが依然改善しないことから、協調して実施している金融市場へのドル資金の供給策を強化すると発表しました。

業績の低迷が続く大手スーパーの西友は、経営の立て直しを急ぐため、来年半ばまでに採算の見込めないおよそ２０店を閉鎖するなどとする合理化策を発表しました。

中川財務・金融担当大臣は、２９日の衆議院本会議で、初めての財政演説を行い、資源や食料価格の値上がりで国民が感じている痛みや不安に対処する必要があるとして、緊急の経済対策を盛り込んだ補正予算案の早期成立を求めました。

日本は、ヨーロッパの国として初めてスイスと経済連携協定の締結で大筋合意し、両国の間では、今後１０年以内に貿易額全体の９９％以上について関税が撤廃されることになりました。

来年１月に予定されている株券の電子化で、金融機関などが融資の担保として預かっている紙の株券も無効になるため、金融庁は企業に対して、早めに証券会社への手続きを行うよう呼びかけています。