ニューヨーク株式市場は、金融危機が実体経済にも広がって企業の経営悪化が一段と深刻になるとの懸念が一気に強まり、平均株価は５年２か月ぶりに９０００ドルを割り込みました。

投資家から集めた資金を不動産で運用するＲＥＩＴ・不動産投資信託の「ニューシティ・レジデンス投資法人」が金融危機などの影響で資金繰りに行き詰まり、１０００億円以上の負債を抱えて９日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請しました。

９日の東京外国為替市場は、欧米の６つの中央銀行が協調利下げに踏み切ったことや、アメリカ政府が金融機関への資本注入を行うという期待感から、ドルを買い戻す動きが強まり、円相場は１円以上値下がりしました。

アメリカとヨーロッパの中央銀行が協調利下げに踏み切ったことを受け、韓国と台湾の中央銀行が、９日、それぞれ政策金利を０．２５％引き下げることを発表しました。

８日に日経平均株価が９５０円以上急落した東京株式市場は、９日は、これまで値下がりしていた機械や鉄鋼などの銘柄に割安感から買い注文が出て、株価は値上がりしています。

日銀の白川総裁は、世界的な金融危機への対応を最大の焦点にワシントンで開かれるＧ７＝先進７か国の財務相・中央銀行総裁会議に出席するため、９日、成田空港を出発しました。

企業の設備投資の先行きを示す主な機械メーカーのことし８月の受注額は、半導体製造装置や鉄道車両などの受注の落ち込みで、前の月に比べて１４．５％の大幅な減少となり、平成１５年４月以来の低い水準となりました。

アメリカの中央銀行に当たるＦＲＢ＝連邦準備制度理事会は、最大９兆円の公的資金を使って救済することになったアメリカ最大手の保険グループ「ＡＩＧ」に対して、日本円で最大３兆８０００億円を追加的に融資することを決めました。

世界的に株価の大幅な下落が進んだため、国内の個人の金融資産が今月に入ってから８日までの８日間だけで２２兆円分も目減りしたという試算がまとまりました。個人消費に悪い影響を及ぼすことが懸念されています。

アメリカやヨーロッパの中央銀行が協調利下げに踏み切ったことについて、ニューヨークにある三菱東京ＵＦＪ銀行米州金融市場部の西仲崇行次長は「一部の市場では協調利下げがあるのではと言われていたが、このタイミングでやるというのは意外だった」と述べるとともに「当局が対策を出しても、実際に動きだすまでの間、資金の流動性の問題も株価の問題もすぐに解決するわけではない」と述べて、当局が協調利下げを行っても即効性は期待できないという認識を示しました。