政府・与党は深刻な景気の悪化を踏まえ、公的資金を活用して企業の枠を超えた事業再編を促そうと、ことし７月をめどに発足させる新たな機関「産業革新機構」が企業に出資するための資金枠を、およそ９０００億円規模まで大幅に拡充することがわかりました。

政府は、今年度の経済成長率の見通しについて、予想以上に景気が悪化しているとして、これまで０％としていたのを、過去最悪のマイナス３．３％に下方修正する方針を固めました。

鉄鋼最大手の「新日鉄」は、自動車用などの鋼材の需要が本格的に回復するにはなお時間がかかるとして、来月に予定していた大分製鉄所の高炉の再稼働を延期する方針を決めました。

「三井物産」が、ことし３月期の決算の最終的な利益の見通しを従来より４０％減少すると修正するなど、商社各社は、保有する不動産や株式の下落などで、軒並み業績を下向きに修正しています。

ＩＭＦ＝国際通貨基金は、１か月前に発表した、ことし、２００９年の世界全体の成長率の見通しをマイナス１．３％にさらに下方修正し、日本の成長率もマイナス６．２％にまで大幅に落ち込むという予測を発表しました。

全国の財務局長会議が開かれ、各地域から雇用情勢の悪化が続き製造業の生産も落ち込んでいるという報告が相次ぎ、財務省は、全国の景気判断について「悪化し厳しさを増している」として、５期連続で下方修正しました。

アメリカ政府は、経営危機に陥っている大手自動車メーカー、ＧＭ＝ゼネラル・モーターズとクライスラーに対し、当面の資金繰りを支援するため、あわせて最大５５億ドル、日本円でおよそ５３９０億円のつなぎ融資を行うことを明らかにしました。

アメリカの有力紙「ニューヨーク・タイムズ」は先月までの３か月間の決算を発表し、景気後退の影響で企業からの広告収入が大きく落ち込んだことから日本円で７２億円を超える赤字となりました。

深刻な景気の悪化に歯止めが掛からないなか、公的資金の活用で企業の資本増強を支援する新たな制度を盛り込んだ産業再生法の改正案が２２日成立する見通しとなり、大手半導体メーカーの「エルピーダメモリ」が申請の方針を固めるなど、この制度を使って財務基盤の強化を図ろうという動きが出ています。

自動車メーカーのホンダは、次世代のハイブリッド車に搭載する高性能な電池の生産工場を２１日に着工し、自動車メーカーの間で激しさを増す電池の開発競争に、本格的に参入しました。