日銀が、５日、ゼロ金利政策を復活させるなどの金融緩和に踏み切ったことを受けて、６日の債券市場では国債を買う動きが強まり、長期金利の代表的な指標となっている国債の利回りは一時、０．８２％と７年３か月ぶりの低い水準まで下落しました。

５日のニューヨーク外国為替市場で一時１ドル＝８２円台まで値上がりするなど、円高が進むなか、アメリカ財務省高官は「市場動向を反映した為替相場の実現が重要だ」と述べて、日本に関して直接的な評価は避けたものの、各国の過度な市場への介入をけん制しました。

６日の東京株式市場は、日銀が５日にゼロ金利政策を復活させたことに加え、５日のニューヨーク市場での大幅な株価上昇を受けて、株価は値上がりしています。

日銀は、急激な円高の影響でデフレからの脱却が遅れるおそれが強まっているとして、５日、４年３か月ぶりにゼロ金利政策を復活させました。同時に、大量の資金を供給するために３５兆円規模の基金を設けて国債や上場型の投資信託などを買い取る方針を打ち出し、速やかな実施に向けて準備を急ぐことになりました。

大手電機メーカー、日立製作所傘下の「日立工機」は、ドイツの子会社が業績をよく見せかけるために、これまでにおよそ１００億円の架空の売り上げを計上するなど、不適切な取り引きがあったことを明らかにしました。

日銀が事実上のゼロ金利政策に踏み切ったことについて、大手電機メーカー、パナソニックの大坪文雄社長は「われわれは企業努力でいろいろな経済環境に対応するのが当然だが、当面、為替相場もそうだし、他国と比べ日本は株価の戻りが遅いなど課題は多い。こうしたなか、円安が絶対にいいとは言わないが、今の円高は日本で生産活動を行ううえで大きな阻害要因になる。政府・日銀あげて政策を間断なく打っていただきたい」と述べました。

日銀が事実上のゼロ金利政策に踏み切ったことについて、日興コーディアル証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは「今回の決定は、市場が思っていたよりも早いタイミングで事実上のゼロ金利に踏み切っただけでなく、基金を設けて、国債や社債以外にも上場投資信託など幅広く金融商品を買い取ることを決めたことも評価できる。日銀ができることは限られているため、今後は政府が、円高対策には為替介入を、景気対策には財政政策をセットで行うことが必要だ」と話しています。一方、みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「メニューをそろえたものの、具体的な内容を見ると、効果は限定的だという結論だ。政策金利を０．１％から０％〜０．１％に下げたと言っても、幅は少しだけで、もはや金融政策でやれることは限界に近い。にもかかわらず、政治サイドの圧力で無理やりひねり出した色彩が強く、円高や景気に対する政策の手段が限られるなかで、日銀に対する圧力が高まった結果にすぎない」と話しています。

最新のデジタル家電や最先端の電子技術を紹介するアジア最大級の展示会が千葉市で始まり、専用の眼鏡を使わなくても映像が立体的に見える３Ｄテレビなど、３Ｄ関連の製品に注目が集まっています。

先週、会社更生法の適用を申請した、消費者金融大手の「武富士」は、５日、経営破たん後、初めてとなる債権者向けの説明会を大阪市内で開き、保全管理人の代理の弁護士は「利用者が払いすぎた利息の返還は大幅に減額される可能性がある」と説明しました。

記者会見した日銀の白川総裁は、今回の措置について、「一つ一つに緩和政策の効果は大きくないという議論があるが、政策を包括的なパッケージとして打ち出すことで、金融緩和の効果を最大限に発揮させようと考えた。金融緩和において日銀はフロントランナーだったが、今回もフロントランナーでありたい」と述べました。また、今回、上場投資信託や不動産投資信託など値下がりのおそれのある資産を買い入れることについて、白川総裁は「今回の措置は、日銀がリスクをとるため損失が出る可能性もある。金融政策の効果と、日銀の財務の健全性の双方を勘案して、資産買い入れの規模などを決めた」と述べました。