野田財務大臣は、外国為替市場で歴史的な円高が続いていることに関連して、９日の参議院財政金融委員会で「市場介入だけではなくて、しっかりとした円高対策を講じて行かなくてはいけない」と述べ、抜本的な円高対策を検討する必要があるという考えを示しました。

世界経済の先行きへの不安が高まって投資家の間でより安全な金融資産に資金を移そうとする動きが出ていますが、東京の債券市場では国債を買う動きも広がり、国債が買われて値上がりすると逆に低くなる関係にある長期金利は、およそ９か月ぶりの水準にまで下がっています。

９日の東京外国為替市場は、世界経済の先行きへの不安が高まるなか、財政赤字の問題が表面化しているアメリカのドルやヨーロッパの通貨ユーロを売って円を買う動きが続き、円相場は、一時、７７円台を突破する手前まで値上がりしました。市場関係者は「東京株式市場でも株価の下落に歯止めがかからないことから投資家の間でリスクを避けようという心理が強まっておりドルを売って円を買う動きが勢いを増している」と話しています。

世界経済の先行きへの不透明感から、投資家の間では損失のおそれがあるリスクの高い株式などを売って比較的安全な資産を買う動きが強まっており、東京工業品取引所では、金の先物価格が２９年ぶりに史上最高値を更新しました。

８日のニューヨーク株式市場に続いて東京市場でも株価が大きく値下がりしていることについて野田財務大臣は、９日朝、記者団に対し「きょうは緊張感を持ってマーケットの動向を注視していきたい」と述べました。また、Ｇ７＝先進７か国の財務相と中央銀行総裁が、８日、共同声明を発表したにもかかわらず、世界的な株安の連鎖が止まらないことについて、野田大臣は「不安を和らげる効果はあったと思う。引き続きマーケットを注視していくなかで、Ｇ７各国は、数週間は緊密に連絡を取っていくことになっているので、そういう場面も随所にあるだろう」と述べ、Ｇ７各国で協調して政策対応を検討していく考えを示しました。

９日の東京株式市場は、８日のニューヨーク株式市場でダウ平均株価が６００ドル以上急落したことを受けて、全面安の展開となっており、日経平均株価は、およそ４か月半ぶりに９０００円を割り込んでいます。

８日のニューヨーク株式市場は、アメリカ国債の格付けが初めて引き下げられたことに加え、アメリカをはじめとした世界経済の先行きに対する懸念が強まって全面安の展開となりダウ平均株価は６００ドル以上、急落しました。

アメリカ国債の格付け引き下げなどを背景にした世界経済の先行きへの懸念から、８日のヨーロッパの株式市場では、取り引きが進むにつれて売り注文が増える展開になり、主要な株価指数は、ドイツのフランクフルト市場で５％下落するなど、軒並みことしの最安値を更新しました。

ニューヨーク市場では安全資産とされる金の先物価格が史上初めて１オンス＝１７００ドルを突破したほか、格下げを受けたアメリカ国債も、リスクを避けるための投資先として買われ、株式などからより安全な資産に資金を移す動きが強まっています。

先週末にアメリカ国債の格付けが初めて引き下げられたことを受けて注目された８日のニューヨーク株式市場は、取り引き開始直後から売り注文が広がり、ダウ平均株価は、一時、４００ドル以上値下がりしています。