スティーブ・ジョブズ氏が開発したアップル社の製品を長年愛用している電気通信大学の小池英樹教授は「ジョブズは未来を見通す先見性と製品のデザイン力が極めて優れ、私たちのライフスタイルを変えた」と話しています。

経団連の米倉会長は、札幌市で講演し、ＴＰＰ＝環太平洋パートナーシップ協定について、日本に有利な形で交渉を進めるためにも、政府はできるだけ早く交渉への参加を決断すべきだという考えを示しました。

「アップル」の前ＣＥＯ＝最高経営責任者のスティーブ・ジョブズ氏が亡くなったことについて、「ソニー」のハワード・ストリンガー会長兼社長は「デジタル時代の先を照らしていた光は失われたが、ジョブズ氏の創造性は幾世代にもわたって夢や理想を抱く人々の刺激となり続けるだろう」というコメントを発表しました。

スティーブ・ジョブズ氏は、アメリカのサンフランシスコで生まれ、大学中退後の１９７６年にアメリカのシリコンバレーで今のアップルの前身の会社を立ち上げました。１９８４年にマウスを使ってさまざまな操作ができ、「マック」の愛称で親しまれたパソコン「マッキントッシュ」を発売し、一大ブームを巻き起こしました。１９８５年には経営方針を巡る社内での対立から一度は会社を追われますが、経営危機に陥っていたアップルを立て直すために１９９６年にコンサルタントとして会社に復帰しました。その後、最高経営責任者に就任し斬新なデザインのパソコン「ｉＭａｃ（アイマック）」をヒットさせ再建に成功します。２００１年には携帯音楽プレーヤーのｉＰｏｄを発表し、インターネットを通じて音楽を購入するという新しいスタイルを瞬く間に普及させました。さらに２００７年にスマートフォンｉＰｈｏｎｅ（アイフォーン）、去年はタブレット端末のｉＰａｄを投入し、キーボードを使った従来の携帯電話やパソコンから、タッチパネルで操作する携帯端末へという変化が加速するきっかけをつくりました。時代の一歩先を行く革新的な商品を次々に生み出したアップルは、ことし７月、時価総額で世界一の企業となりました。ジョブズ氏が黒のシャツにジーンズという服装で新商品を手にしながら印象的な言葉で語りかける姿は、熱狂的なファンの心をつかみ、「ロックスター」とも称されました。こうしたプレゼンテーションの手法やアップルの経営戦略は世界の多くの企業経営者に影響を与えました。ジョブズ氏は２００４年にすい臓がんの手術を受け、さらに２００９年には半年間休職して肝臓の移植手術を受けるなど、ここ数年、闘病生活を送っていました。そしてことし８月には「ＣＥＯとしての責務と期待に応えられなくなった」としてアップルの最高経営責任者を辞任し、会長に退いていました。

「アップル」の前ＣＥＯ＝最高経営責任者のスティーブ・ジョブズ氏が亡くなったことについて、経団連の米倉会長は「本当にすばらしい経営者だった。アップルを時価総額世界一を争う会社にしたことは、本当に頭が下がる思いだ。アップルというだけでなく、イノベーションの先駆者が亡くなられたという思いが非常に強い」と述べました。また、携帯端末向けの電子部品などでアップルと取り引きがある東芝の西田厚聰会長は「非常に天才的な方だった。業界にとっては、大変惜しい人を亡くした。これからもまだまだ新しい発想力やアイデアを期待していたが、パソコン業界に貢献した方が亡くなられたのは残念です」と述べました。

ニューヨークのブルームバーグ市長は、アップルのスティーブ・ジョブズ氏の死去について、緊急のコメントを発表し、ニューヨーク市警察など市の職員の多くがアップルの製品を仕事で使っていることを挙げたうえで「今夜、アメリカは、エジソンやアインシュタインと並んで記憶される天才を失った」とジョブズ氏の功績をたたえました。

アップルのティム・クックＣＥＯ＝最高経営責任者は、５日夜、従業員向けに、「大変残念な知らせだがスティーブがきょう亡くなった。わたしたちはわれわれを励ましてくれた親愛なる指導者を失った。彼の精神は永遠にアップルの礎となる」というコメントを発表しました。また近く、社内向けにジョブズ氏の功績をたたえたイベントを開催する考えを明らかにしました。

アップルのスティーブ・ジョブズ前ＣＥＯ・最高経営責任者が亡くなったことを受けて、マイクロソフトの創業者のビル・ゲイツ氏は、「スティーブの死は本当に悲しい。彼のように大きな影響を与えられる人物は世界にめったにいない」とする談話を発表しました。

野田政権は、ＴＰＰ＝環太平洋パートナーシップ協定の交渉に参加するかどうかについて、来週にも、経済・財政運営などの司令塔を担う新たな会議を発足させ、議論を本格化させることにしています。

来年度予算案の概算要求がまとまり、東日本大震災の復興対策で各省庁からの要求に上限を設けなかったことなどから、一般会計の総額は９８兆４６８６億円と過去最大になりました。