光学機器メーカー、オリンパスの巨額の企業買収を巡る問題で、２年前にこの問題を調べた当時の調査委員会に、買収で５５０億円の損失を計上するという情報が伝えられていなかったことが、関係者への取材で分かりました。調査の結果、一連の買収は問題視されなかったということで、証券取引等監視委員会は当時のいきさつを調べることにしています。

３日のヨーロッパの債券市場は、ギリシャの政治的な混乱でＥＵ＝ヨーロッパ連合がまとめた信用不安への包括的な対策が実施されるかどうか不透明だとの見方から、財政状況が厳しい国の国債が大幅に値下がりし、ギリシャやイタリアの国債は一時、通貨ユーロ導入以来の最安値を更新しました。

オリンパスが多額の報酬を支払ったアメリカにある投資助言会社「ＡＸＥＳ」は、日本の大手証券会社に勤めていた男性が平成９年に設立しました。オリンパスは５年前の平成１８年６月、海外で大規模な企業買収を進めるため、この会社と契約を結びました。当初の契約は、基本報酬が５００万ドル、成功報酬が買収額の１％でしたが、その後、契約が見直され、成功報酬が５％に引き上げられました。基本報酬の５００万ドルは契約後すぐに支払われました。買収の対象は、イギリスの医療機器メーカー「ジャイラス」、翌平成１９年１１月、買収することが決まりました。成功報酬として与えられたのは、現金１２００万ドルのほかジャイラスの優先株１億７７００万ドル相当でした。ところが、オリンパスは、ジャイラスを１００％子会社化するため、ＡＸＥＳに与えた優先株と株についての権利を買い取ることにしました。この支払い先となったのは、ＡＸＥＳが一連の買収のためタックスヘイブン＝租税回避地として知られるカリブ海のケイマン諸島に設立した関連会社「ＡＸＡＭ」でした。平成２０年９月、まず、株についての権利の対価として５０００万ドルが支払われ、さらに去年３月、６億２０００万ドルを支払って優先株を買い戻しました。優先株の価値は１億７７００万ドル相当でしたが、オリンパスは、ジャイラスが１００％子会社化できれば事業価値が上がると考え、高値で買い取ったと説明しています。オリンパスが支払った額は、最終的には６億８７００万ドル、当時の為替レートで６６０億円に上り、買収額２２００億円の３割に上っています。

光学機器メーカーのオリンパスが企業買収を仲介した会社に６６０億円を支払っていた問題で、オリンパスでは２年前にも監査役から指摘を受けて調査委員会を設けたものの結局不問にしていたことが分かりました。証券取引等監視委員会は、巨額の報酬などがなぜ問題視されなかったのか当時のいきさつを調べることにしています。

ギリシャ政府が、ＥＵ＝ヨーロッパ連合がまとめた信用不安への包括的な対策を受け入れるかどうか国民投票にかける方針を決めたことに波紋が広がるなか、財政危機に陥った国を支援する「ヨーロッパ金融安定化基金」が、２日に予定していた資金調達を延期し、金融市場に動揺が広がっていることを裏付けています。

今月、ハワイで開かれるＡＰＥＣ＝アジア太平洋経済協力会議の閣僚会議は、東日本大震災などを踏まえて、支援物資の税関手続きの緩和を検討することなど、各国が大規模な災害への備えを強化することで一致する見通しです。

日産自動車は、タイの洪水被害で不足していた部品の調達にほぼめどが立ったことから、操業を停止している現地の工場で、日本の自動車メーカーで初めて、今月１４日から一部の車種の生産を再開する考えを明らかにしました。

東日本大震災で大きな被害を受け操業を停止していたキリンビールの仙台工場が復旧し、２日からビールの出荷が始まりました。

大手電機メーカーの「ソニー」は、テレビの販売不振や歴史的な円高の影響で来年３月期の決算は最終的な損益が当初の黒字予想から一転して９００億円の赤字となり、４期連続の赤字となる見通しになったと発表しました。

先月のトラブルで原子炉が自動停止し、１日夜に運転が再開された佐賀県の玄海原子力発電所４号機で、２日午後３時、発電が再開されました。