ヨーロッパの信用不安の影響を受け経営が破たんしたアメリカの大手金融会社「ＭＦグローバル」は、４日、ジョン・コーザイン最高経営責任者が経営責任をとって辞任したと発表しました。

先進国に新興国を加えたＧ２０サミットは、日本時間の４日夜、発表した首脳宣言で、ヨーロッパの信用不安が世界経済へ波及していることに強い危機感を示すとともに、これに歯止めをかけるため、ＥＵ＝ヨーロッパ連合がまとめた包括的な対策を「歓迎し、早期の実行を促す」として、財政危機に陥っているギリシャに対策の受け入れを求めた形になりました。

ヨーロッパの信用不安の拡大を防ぐための包括的な対策の一環で、各国の銀行が経営の健全性を高めるよう求められていることに対し、ドイツの大手銀行が、リスクのある資産を日本円で３兆円を超える規模で削減すると発表し、経営基盤の強化に向けた動きが加速しています。

フランス・カンヌで開かれていたＧ２０サミットの終了後、アメリカのオバマ大統領は、記者会見し、ヨーロッパ各国の首脳が信用不安の拡大防止のための包括的対策を早い段階で進めていくことを約束したとして、評価しました。

アメリカの先月の失業率は９％と、前の月に比べて０．１ポイント改善したものの、景気の動向を敏感に映し出すことで注目される「農業以外の分野で働く人」の数は、８万人の増加にとどまり、雇用状況の厳しさが続いています。

東京電力は、福島第１原子力発電所の事故の処理費用や火力発電所の燃料がかさむことなどから、来年３月期の決算は最終的な損益が６０００億円の赤字になるという見通しを発表しました。

フランスのカンヌで開かれているＧ２０サミットは、日本時間の４日夕方から２日目の討議が始まりました。会議では、支援策の受け入れを巡り混乱が続くギリシャの国内情勢をにらみながら、ヨーロッパ発の信用不安が世界経済に深刻な影響を与えるのを回避するため、一致した行動を取れるのかが焦点になっています。

ＥＵ＝ヨーロッパ連合が決めた包括的な支援策を受け入れるかどうかを巡る、ギリシャでの政治的な混乱について、古川経済財政担当大臣は、閣議のあとの記者会見で、ギリシャは速やかに支援策を受け入れるべきだという考えを示しました。

政府は、東京電力と原子力損害賠償支援機構がまとめた特別事業計画を認定し、これによって福島第一原子力発電所の事故の賠償のため、東京電力にはおよそ９０００億円の公的資金が拠出されるとともに、抜本的な経営改革を求められることになります。

３日のニューヨーク株式市場は、ヨーロッパ中央銀行が信用不安が経済に及ぼす影響を抑えるために政策金利を引き下げたことを受けて幅広い銘柄に買い注文が集まり、ダウ平均株価は２００ドル以上値上がりしました。