カナダのフラハティ財務相は、東京都内で記者会見し、ヨーロッパの信用不安について、「いらだちを感じている」と述べ、不安の拡大防止に向け、ヨーロッパ各国が迅速に対応するよう強く求めました。

１６日の東京株式市場は、ヨーロッパの信用不安への根強い懸念から売り注文が増え、東証株価指数＝トピックスの終値は７２４．１１と、およそ１か月半ぶりにことしの最安値を更新しました。

安住財務大臣は、カナダのフラハティ財務相と会談し、ヨーロッパの信用不安の拡大を防ぐには、先月決まった包括的な対策の実行など、まずヨーロッパ自身が行動することが重要だという認識で一致しました。

ＥＵ＝ヨーロッパ連合は、ヨーロッパで広がる信用不安をあおっているとして批判の声も出ている大手格付け会社について、国際的な支援を受けている国の国債に対しては、格付けを一時的に禁止するなど、規制を強化する方策を検討することになりました。

アメリカの先月・１０月の小売業の売り上げ高は、家電製品や建築材の売り上げが伸びたことから、前の月に比べて０点５％増え、市場予想を小幅ながら上回る結果となりました。

通貨ユーロを導入しているヨーロッパ１７か国のことし７月から９月までの第３四半期のＧＤＰ＝域内総生産の伸び率は、ギリシャに端を発した信用不安の拡大を受けて前の四半期に比べてプラス０．２％と、ほぼゼロ成長となったことが明らかになりました。来年の成長率の見通しについて、ＥＵは、ことし春に発表した１．８％という見通しを大幅に下方修正し、成長は０．５％にとどまるという見通しを示しており、信用不安が収束する兆しが見えないなかで、ヨーロッパ経済は引き続き来年にかけても厳しい状況が続きそうです。

タイの洪水で、グループ企業などが被災した日本の企業の間では、タイ人従業員の受け入れを決める動きが相次いでいます。

日本自動車工業会の志賀俊之会長は、１５日の記者会見で、タイの洪水被害の影響で車の生産を停止していた現地の工場の一部が１４日に操業を再開したことについて、「依然として洪水被害に遭っているなかで、部品メーカーにタイ以外の地域で代替生産を行うなど大きな協力をもらったことに大変感謝している。現地の従業員の間では雇用への不安がみられたが、車の生産再開によってタイ経済の将来に希望を持つきっかけになることを祈っている」と述べました。そのうえで、志賀会長は「タイは日本メーカーが全体の９５％のシェアを占める非常に重要な自動車市場であるだけでなく、輸出の基地にもなっており、部品メーカーの集積もある。このため、日本の自動車産業にとってのタイの重要性は洪水被害によって変わるものではなく、被災したメーカーも戦略は変えないと理解している」と述べました。

東京電力福島第一原子力発電所の事故の損害賠償を支援する「原子力損害賠償支援機構」は、東京電力に対し、賠償金の支払いで年内に必要と見込まれる５５８７億円の公的資金を初めて交付しました。

大手自動車メーカー「ホンダ」は、タイの洪水の影響で続けていた北米での生産調整について、不足していた部品の調達のめどが立ったとして、来月１日から２日間、生産体制を通常に戻すと発表しました。