３０日の東京外国為替市場は、日銀が追加の金融緩和策を発表したことをきっかけに、これまで売られていた円を買い戻す動きが出て、円相場はいくぶん値上がりしました。

日銀の白川総裁は、金融政策決定会合のあとの記者会見で、２か月連続となる異例の追加緩和に踏み切ったことについて、「前回の決定会合からの最も大きな変化は、海外経済の減速が強まり、製造業の雇用などに影響が出ていることだ」と述べ、中国をはじめ海外経済の減速で一段と弱い動きが出ている、国内景気の下ぶれに対応したものだという認識を示しました。一方、白川総裁は、デフレからの早期脱却を目指して、政府・日銀で共同文書を発表したことについて、双方が政策面で協定を結ぶ「アコード」ではないとしながらも、「デフレ脱却に向けて最大限に努力する、政府、日銀の考えを明確に示したものだ。日銀として、消費者物価の上昇率の１％の達成を目指して、今後も強力な金融緩和を進めていく」と述べました。そのうえで白川総裁は、政府に対し「経済構造を変革する観点から、思い切った規制緩和など、日本経済の成長力強化に向けた政策を強力に推進してほしい」と述べ、デフレ脱却に向けた一段の取り組みを求めました。

日銀は３０日、経済成長率と消費者物価の最新の見通しを発表し、景気の先行きが厳しさを増していることから、物価の上昇率は、２年後の平成２６年度でも、日銀が目標とする１％には届かず、デフレからの脱却にはなお時間がかかることが改めて浮き彫りになりました。

日銀は、３０日に開いた金融政策決定会合で、景気が弱含みになっているとして、２か月連続で、金融市場に大量の資金を供給する基金の規模を増やす、追加の金融緩和に踏み切りました。また、政府と日銀が連名で異例の共同文書を作り、デフレからの早期脱却を目指し最大限努力するとして、協調していく姿勢を強く打ち出しました。

アメリカのＩＴ企業、アップルは、２９日、ソフトウエア部門の責任者、スコット・フォーストール上級副社長が退任すると発表しました。アップルが独自に開発した地図ソフトを巡って、表示が正確でないという批判が相次いだことから、混乱を招いた責任を取ったのではないかという見方も出ています。

１人暮らしを除いた世帯の先月の消費支出は、住宅の修繕や衣服の購買などに対する支出が減ったことから、８か月ぶりに前の年より減少し、総務省は「弱含みとなっている」と基調判断を下方修正しました。

先月の全国の完全失業率は４．２％で、前の月と変わりませんでした。

企業の生産活動を示す先月の鉱工業生産指数は、平成１７年を１００とした指数で８６．５と、前の月に比べて４．１％のマイナスになり、３か月連続で前の月を下回りました。経済産業省は、企業の生産活動について「低下傾向にある」としています。

アメリカのルース駐日大使は、２９日、下地郵政民営化担当大臣と会談し、日本郵政グループが検討している金融分野の新規事業について、現状では外国企業との公正な競争条件が確保されないとして懸念を示しました。

「日本郵政」は３年後、平成２７年をめどに株式の上場を目指す方針を、政府の郵政民営化委員会に示しました。