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G7声明のポイント(金融安定化フォーラム(FSF)での勧告 その1)
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昨年の秋に、G7金融当局は、金融安定化フォーラム(FSF)に対し、金融市場の混乱を引き起こしている国際金融システムにおける要因と脆弱性を特定する報告の提出を要請した。
報告書は、市場と制度の抵抗力を強化するための詳細な勧告を盛り込んでおり、ドラギFSF 議長、FSF メンバーに感謝している。
G7金融当局は、報告書の内容を強く支持しており、勧告を実施することを確認している。
FSF 報告の迅速な実行は、国際金融システムの抵抗力を長期的に強化するだけではなく、信認の維持と市場機能の向上を支援するだろう。
FSF 報告は、5つの主要な分野について、具体的かつ充実した勧告をしている。
勧告の中でも、100日以内に実行しなければならない優先順位の高いものは以下のとおりと考えている。
●金融機関の徹底的かつ即時の情報開示 金融機関は、複雑で流動性のない商品に関し、リスクへのエクスポージャー、償却及び公正価格(フェア・バリュー)の見積りを徹底的かつ即時に情報開示すべき。
金融機関は、次回の中間期決算において、FSF 報告に示された先進的な事例に倣って、リスクに関するしっかりとした情報開示を行うことを強く促す。
●国際会計基準審議会(IASB)他機関への要望 国際会計基準審議会(IASB)及びその他の基準設定機関は、オフバランス関連会社に対する会計及び情報開示の基準を改善するとともに、特に市場が萎縮・緊張している場合の金融商品の評価について、時価評価会計のガイダンスを向上させるため、迅速に行動を開始すべきである。
●金融機関のリスク管理の慣行 金融機関は、当局の監督を受けつつ、厳格なストレス・テストを含め、リスク管理の慣行を強化すべき。
金融機関はまた、必要に応じ、その自己資本を強化すべきである。
●バーゼル委員会への要望 2008 年7 月までに、バーゼル委員会は、流動性リスク管理に関する改訂ガイドラインを発出し、証券監督者国際機構(IOSCO)は、格付会社のための行動規範を改訂すべきである。
G7金融当局は、FSF の以下の勧告を2008 年末までに実施することを支持する。
●資本、流動性、リスク管理についての健全性監督強化 バーゼルIIの自己資本規制を適時に実施する必要がある。
バーゼル委員会は、複雑な仕組み商品及びオフバランス関連会社に関して所要自己資本を引き上げ、追加的なストレス・テストを要求し、モニタリングを強化すべきである。
●透明性及び価格評価の向上 バーゼル委員会は、オフバランス関連会社、証券化商品へのエクスポージャー、流動性コミットメントに対する情報開示を銀行が強化するために、銀行の価格付けプロセスの監督上の評価を改善するさらなる指針を示すべきである。
●格付けの役割及び利用法の変化 投資家は、格付けの利用に際し、デュー・ディリジェンスを改善する必要がある。
格付会社は、業務における潜在的な利益相反の問題に対処し、仕組み商品の格付けと債券の格付けとを明確に区別し、格付手法の情報開示を改善し、証券化商品のオリジネーター・仲介者・証券発行者により提供される情報の質を評価するため、(改訂されたIOSCO の行動規範と整合的な)実効ある行動をとるべき。
●リスクに対する当局の対応の強化 監督当局及び中央銀行は、金融の安定に対するリスクの評価を含めて、協力と情報交換を更に強化すべきだ。
国際的に活動する大手金融機関毎に、監督当局で構成される国際的なグループを設置することが重要である。
また、市場監視当局は、詐欺、市場操作及び相場操縦について調査し処罰するために、協力して迅速に行動すべきである。
●金融システム危機への対応強化 中央銀行は、金融システムが緊張している期間、効果的に流動性を供給できる必要があり、当局は、体力の低下した銀行に国内外で対処するための枠組みを見直し、必要に応じ強化すべきである。

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