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米経済、リセッションほぼ確実に=個人消費が17年ぶりに減少
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−第3四半期GDP、−0.3%=3期連続でマイナス成長か−
【2008年11月2日(日)】 − 米商務省が10月30日に発表した第3四半期(7-9月)実質GDP伸び率(季節調整済み、前期比年率換算)の速報値は−0.3%となり、前期の+2.8%からマイナス成長となった。
成長率がマイナスとなったのは、昨年第4四半期(10-12月)の同−0.2%以来3四半期ぶりだ。
ただ、昨年第4四半期の場合と異なるのは、GDPの3分の2(約70%)を占める個人消費が1991年以来17年ぶりにマイナス成長となったことだ。
ただ、明るい材料は、市場予想のGDP伸び率のコンセンサス(マイナス0.5%)を下回ったことだ。
しかし、それでも、エコノミストの多くは、今後、小売売上高や個人所得、失業率の悪化が進み、個人消費の低迷が長期化し、来年第1四半期(1-3月)まで3期連続のマイナス成長になると予想している。
最近のGDPの動きを見ると、前期までは回復傾向を示していた。
昨年第4四半期(10-12月)は2001年のリセッション(景気失速)以来のマイナス成長となったが、第1四半期(1-3月)は+0.9%、第2四半期(4-6月)も総額1070億ドル(約11兆6000億円)の税還付(4月28日−7月11日)の効果で+2.8%と潜在成長率の2.5-2.75%を上回っている。
しかし、その後は、銀行の貸し渋りで個人消費は一気に冷え込んだ。
第2四半期(4-6月)で税還付の効果が薄れる一方、9月中旬に米証券大手リーマン・ブラザーズが破産。
さらには、政府系住宅金融のフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)とファニーメイ(米連邦住宅抵当金庫)、世界保険最大手のAIGも相次いで国の管理下に置かれ、金融危機が再燃したからだ。
また、7月には原油などの原材料価格が急落したため、エネルギーやコモディティの価格高騰に賭けて運用に失敗したヘッジファンドが、投資家からの解約(資金償還)請求に対応するため、保有株の売却を急いだ結果、株式市場が急落、個人消費にさらなる打撃を与えている。
株式市場にとって、2兆ドルの運用資産規模を誇るヘッジファンド業界からの投資資金の流入は相場を支える大きな原動力となっている。
しかし、最近のヘッジファンドのパフォーマンスの悪化はひどく、20年ぶりの低水準となっている。
このため、多くのヘッジファンドは投資家から巨額の資金償還に迫られ、株価を買い支えることができなくなっている状況だ。
シンガポールのヘッジファンド調査会社ユーリカヘッジが10月中旬に発表したデータによると、9月のヘッジファンド業界は速報値ベースで、約790億ドルの資金流出が見られたという。
このうち、445億ドルが投資損失、残る345億ドルは解約に伴う資金償還となっている。
多くのヘッジファンドは、クレジット市場危機の影響を受けて、現在の年初来リターンは最大でマイナス30%強となっており、一部にはマイナス60%を超えている。
また、米調査会社ヘッジファンド・リサーチによると、第3四半期(7-9月)のヘッジファンド業界は、過去最高の2100億ドル(運用額全体の10%強)の流出超になったと見られている。
この結果、ヘッジファンド業界の運用資産規模は1.93兆ドルから1.72兆ドルに減少したといわれる。
業界関係者は今後もヘッジファンド業界の資金流出は続くと見ており、年末までに業界全体で運用資産規模は25%縮小すると予想。
クレディスイスの予想では、約8000本のヘッジファンドの30%が今後数年間で清算されるとしている。

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