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景気減速と原油需要
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1.原油市況:60ドル台前半に下落
原油相場(WTI、期近物)は、世界景気の低迷により石油需要が鈍化するとの観測が強まり、大幅に下落している。
10月27日の終値は1バレル=63.22ドルであった。
24日にはOPECの臨時総会が開催され、日量150万バレルの減産が決定されたものの、市場ではすでに織り込み済みとの見方が強まり、価格下落には歯止めがかからなかった。
また、金融市場では、金融の混乱が実体経済に悪影響を及ぼすとの懸念が強まっており、株価の下落が、さらに金融システムや経済の先行き不透明感を増幅する悪循環がみられる。
原油相場は、株価と連動して下落する動きになっている。
石油市場についてみると、米国週次石油統計では、ハリケーン「アイク」に被災した米国の石油施設の復旧が進む中で、原油や石油製品の在庫が増加を続けていることが示された。
ナイジェリアでは、武装勢力の攻撃により油田での生産障害が拡大しているが、これを材料に原油相場が上昇する動きはない。
最近の原油の油種間スプレッド(価格差)をみると、7月頃に比べると、WTIは持ち直し、ドバイやブレントが割安化している。
米国原油の供給障害の影響や欧州・アジアの需要鈍化観測がその背景として考えられる。
一方、原油相場の先物カーブをみると、数年先にかけて緩やかな先高感がある。
足元の需給が緩和しているが、先行きは価格が持ち直すとの見方が多いことが推察される。
また、先物市場における投機筋のポジションをみると、6月後半以降売り買いが拮抗する中、足元では小幅な売り超で推移している。
一方、商業筋も含めた先物の建て玉をみると、2007年半ばにピークをつけ、2008年7月以降は減少傾向が強まっている。
原油相場は、10月に入って景気減速懸念や投機資金流出観測によって下落基調が強まっている。
当面、景気減速による石油需要減退観測が相場の下落圧力になる一方で、OPECの協調減産がさらに強化されるとの観測が下値を支える要因になろう。
また、先行き不透明感による買い控えもあって価格下落圧力が続きそうだが、その後は、値ごろ感から原油購入が増えるとの見方も出てくるとみられ、年末にかけて相場は下げ止まり70ドル台に戻す可能性がある。
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