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原油安と為替相場について
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1.原油市況:景気減速観測を背景に80ドル台半ばに下落
原油相場(WTI、期近物)は、金融市場の混乱を背景に乱高下が続いているが、相場のレンジは徐々に切り下がってきている。
10月9日の終値は1バレル=86.59ドルであった(その後の時間外取引では1バレル=84ドルを割った)。
金融市場では、米国は金融機関救済策をさらに拡充する必要があるとの見方が出ている。
また、欧州でも金融機関の経営難が深刻化して各国政府による救済が行われるなど、経済の先行き不透明感が強まっている。
株価の下落が、さらに金融システムや経済の先行き不透明感を増幅する悪循環がみられる。
石油市場についてみると、米国の石油施設はハリケーン「アイク」による大規模な生産障害が発生し、2005年にハリケーン「カトリーナ」に被災した当時によく似た状況になっている。
しかし、油田や製油所の生産障害にも関わらず、ガソリンなど製品の足元の需給は、逼迫感が出ておらず、むしろ緩和気味に推移しているようだ。
8日に発表された米国週次石油統計では、生産活動の復旧が進む中で、原油やガソリンの在庫が増加したことが示された。
最近の原油の油種間スプレッド(価格差)をみると、WTIはドバイやブレントに対して割高になる方向に推移しているが、上記の原油の供給障害の影響や欧州・アジアの需要鈍化観測がその背景として考えられる。
一方、原油相場の先物カーブをみると、目先数ヶ月は先安感があるが、数年先にかけて緩やかな先高感がある。
足元から数カ月先の需要鈍化観測が強いことが推察される。
また、先物市場における投機筋のポジションをみると、6月後半以降売り買いが拮抗する中、足元では小幅な買い超しに転じている。
一方、商業筋も含めた先物の建て玉をみると、2007年半ばをピークに、2008年7月以降は減少傾向が強まっている。
原油相場は、9月後半に一旦下落に歯止めがかったが、10月に入って景気減速懸念や投機資金流出観測によって再び下落基調が強まった。
当面、景気減速による石油需要減退観測が相場の下落圧力になる。
一方で、OPECの協調減産が強化されるとの観測や、値ごろ感から中国などの原油購入が増えるとの見方が下値を支える要因になろう。
目先は狼狽的な売りにより下落が加速するかもしれないが、その後は、80〜90ドル台を中心とした推移になると見込まれる。

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