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原油相場の下値について
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1.原油市況:110ドル台でいったん下げ止まりの動き
原油相場(WTI、期近物)は下落傾向が鮮明となる中、8月20日には一時110ドル近くまで下落したが、その後、グルジア紛争やハリケーンなど供給懸念により下げ渋り、110ドル台半ばでの推移が続いた。
この間、米国で金融不安が再燃しドルがやや軟調であったことも買い材料となった。
最近の原油の油種間スプレッド(価格差)をみると、8月上旬には、米国における石油需要の減退観測などからWTIに下落圧力がかかっている様子が窺えたが、足元ではWTIがドバイやブレントと比べ相対的に値を戻している。
原油相場の先物カーブをみると、2009年4月頃をピークとする緩やかな先高感があり、市場で足元の相場下落は限定的との見方が残っていることが分かる。
先物市場における投機筋のポジションをみると、6月後半以降売り買いが拮抗する中、7月22日に終わる週以降はネットでは売り越しが続いたが、足元では小幅な買い越しとなっている。
一方、ガソリンの買い越し幅は5月20日に終わる週をピークに縮小傾向が続いている。
原油相場は7月中旬以降続いた一本調子の下落が110ドルでいったん下げ止まり落ち着きを取り戻している。
もっとも、グルジア紛争をめぐり、米ロの緊張の高まりやパイプラインの爆発など、7月までの急騰局面であれば相場を一日で5〜10ドル程度押し上げたであろう材料が続いたが、市場の反応は限定的であり地合いの弱さを示している。
米国を中心に先進国の原油需要の減少傾向も鮮明となってきた。
五輪後の中国需要やOPEC減産など目先の不確定要因があるものの、相場が反転する局面では戻り待ちの売りが活発になることが予想される。
新興国の経済成長を背景として中長期的には価格が高止まりするとの見方が徐々に広まる中、需要構造は原油価格2桁時代とは格段の変化を見せ始めている。
高い原油価格に対応した経済構造へのシフトが起きていることを意味する一方、景気が底堅さを維持する場合でも原油需要の回復は限定的にとどまる可能性がある。
米国で規制強化の動きを背景に市場からの投機資金の流出が指摘されていることも相場の上値を抑えている。
このため、原油相場は年末にかけて100ドル程度まで下落する見通しである。

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