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食糧価格と原油価格
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1.原油市況;供給懸念により一段高、一時147ドル台
原油相場(WTI、期近物)は、7月11日に一時1バレル=147.27ドルまで上昇し、最高値を更新した。
終値は145.08ドルであった。
7月は初旬にかけて、ECB(欧州中央銀行)による利上げがドル安につながるとの観測が広がったため、ドル安に連動した原油高の思惑が強まった。
3日の終値は145.29ドルまで上昇した。
その後、対ユーロを中心としたドル安が一服する中で、欧州や米国で弱めの景気指標が発表されて需要鈍化観測も出たため、原油相場は130ドル台に戻していた。
しかし、7月11日にはイスラエルによるイラン攻撃の可能性が取りざたされ、ブラジルやナイジェリアの供給懸念もあって史上最高値を更新した。
なお、7月7〜9日にかけて行われた洞爺湖サミットにおいて、食糧高とエネルギー高が主要なテーマとして取り上げられた。
しかし、市場参加者の間では、6月22日にサウジアラビアのジッダで開催された産油国と消費国の緊急閣僚会合と同様に、即効性のある対策は打ち出されなかったとの見方が多い。
一方、米国の原油在庫の減少について、需給逼迫を表すものとする見方もある。
しかし、先行きの需要が不透明になってきている中で、価格が高騰している原油を購入することを手控える動きが石油精製業者に出ているものと思われる。
原油相場の先物カーブをみると、2009年2〜3月がピークになっている。
さらに期先の限月についても140ドル台の価格がついており、原油相場が高止まりするとの観測が強まっていることがうかがえる。
先物市場における投機筋のポジションをみると、6月17日に終わる週から小幅ながら売り超に転じていたが、7月1日に終わる週には小幅な買い超に転じ、8日に終わる週はほとんど売り買いが均衡した。
一方、ガソリンの買い越し幅は5月20日に終わる週をピークに縮小傾向が続いている。
引き続き、ドル安や株安を受けて原油を買い進める投機的な思惑が強まりやすいとみられる。
また、地政学リスクなどによる供給懸念も出て、相場の押し上げ材料になっている。
しかし、実際には景気減速やガソリン価格上昇により、各国の石油需要は抑制されるとみられ、年末にかけて、いったん100ドル程度まで反落する可能性があろう。
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