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第13話「オマエも若いだけの女ではない。わかるはずだ」(あの男の正体(はらわた))
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- (前回から読む) 「私たち、興津に3年もいたのね。なんだか、本当のような気がしない」 12年前のことだった。 内外海行の社長が東京地検の特捜部に逮捕されてしまった。そうなった以上、誰の目から見ても、南川丈太郎が社長にもどるしかないことはあきらかだった。前の社長だったし、逮捕された男を後継者に指名したのも南川だった。それに、肩書きのうえでは依然として取締役会長という立場にあった。なによりも、創業者一族の縁続きということもが誰の頭にもあった。会社が危機におちいったときには、そうした血のつながりといったことが重要になるタイプの会社もあるものだ。内外海行はその一つだった。 「ま、会社のことは一時のことだから」 南川は、好物の興津の港に上がったアマダイの一夜干しを箸の先でほぐしながら、房恵に話しかけるとも独りごとともなく、東京での騒ぎを口の端にのぼらせた。
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