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第12話「私はあの人とでなくてもよかったし、会社を辞めてもよかった」(あの男の正体(はらわた))
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- 古堂房恵は、50歳が近づいてきたころから、ときどき自分の過去を振り返ってみることがあった。 おーいやだ、いやだ。昔のことなんて。第一、懐古趣味なんて私に似合わない。私らしくない。 私らしくない? でも、私って、なに? ここから、いったいどこへ行ってしまうの? それにしても、この私に50歳の誕生日が来てしまうなんて。 本当なの? 22歳で女子大を出て、すぐに内外海行に入社した。決まったのは1年前のこと。就職問題がほかの人より先に片付いたのがうれしくって、大好きな広尾の街を歩きまわった。自分で足の爪紅く塗って、外からよくみえるようにピンクのサンダルはいて。 交差点にある背の高いマンション二つ、いつもよりとっても大きくて、頼りがいがあるようで、素敵に見えたっけ。
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