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第1話「会社に入ればなにかが皿にのって出てくる。考えもしなかった皿が出てくるのがサラリーマンてものだ」(あの男の正体(はらわた))
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- どこにもあの男の姿がなかった。 あの男がいつもすわっていた席に、別の男がいた。 「平成22年度第10回の取締役会を開催いたします」 静まりかえったいつもの大きな会議室に、新しい声が響いた。取締役会がはじまったのだ。 なんのこともないような決まり文句がだらだらと続く。だれもが漠然と聞き流してしまう。しかし、法的にみれば一部の隙もない文章に作ってある。暗記して、口にすれば、それでいいようにしてある。新任の社長なのだ、目の前に原稿が用意されてもいる。 議長役の新社長の声は、緊張しきっている。こんな簡単なことが、震える声でしか喋れない。無理もない。まだ二回目なのだ。だれでも取締役会の議長などといった役に慣れるには時間がかかるものだ。
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