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【NY市場】トリシェ総裁の利上げまで匂わすタカ派発言でユーロ買戻し
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5日のNY為替市場はユーロ買いが強まった。
きょうのECB理事 会では金利は据え置きとなったものの、その後のトリシェECB総 裁が会見で、7月の利上げの可能性を排除しないと、利上げの 可能性を示唆したことから、ユーロは一斉に買いが強まった。
ECBが利上げの可能性まではっきりと述べたことは、かなり 意外感の強い内容であった。
また、ECBスタッフ見通しも改定さ れ、08年の消費者物価(HICP)の予測を3.2-3.6%(前回2.6-3.2 %)に大幅に上方修正し、ECBの利上げ期待を一層強めた。
ユーロ買いとともに、ドル売りも優勢になった格好。
一方、円相場は比較的しっかりとした動きで、ドル円、クロス円 ともに底堅い動きとなった。
小売大手の5月既存店売上高が予 想を上回り、また新規失業保険申請件数も予想以上の良好な 内容となったことで、米景気の先行きに対する楽観的なムード も漂っていた。
そのことが強く感じられたのが、S&PがMBIA、ア ムバックのモノライン大手2社の格下げを発表し、その後の市場 の動き。
発表直後はムードが急速に悪化したものの、ネガティ ブな反応は一時的なものに留まり、モノライン両社の株価も下げ を戻し、逆に反動で大幅な上げに転じるなど、このところ強まっ ていた金融機関の信用問題も不安感が一服してきているのかも しれない。
このような中、リスク許容度の上昇から、為替市場では円売りが 見られた。
◆ドル円、106円台回復も伸び悩み、ただ下値もしっかり 米新規失業保険申請件数が良好な内容だったことや、米小売 大手の既存店売上高が強い内容だったこと、そして通信会社の 買収成立など、米リセッション観測を弱めるようなポジティブな 雰囲気が市場に広がり、ドル円はNY時間の朝方に106.40近辺 まで上昇した。
しかし、トリシェECB総裁の予想以上にタカ派な理事会後の会見 で、ユーロ売り・ドル買いの動きが強まり、ドル円も上値が重くな ったが、株価が堅調だったことから下値も堅かった。
午後になって、大手モノラインの格下げが発表になり、105.60近 辺のサポートラインまで急速に下げていったが、株価が盛り返し たことで、106.00近辺まで戻している。
ようやく、106円台に乗せ、当面の目標である108円台の可能性 も高まってきているが、ユーロが上昇しており、原油の動きも絡 めて、動きはまた複雑になりそうか。
◆雇用統計 強い内容に反応しやすい地合いか 6日は米雇用統計が発表される。
注目の非農業部門雇用者数 は6万人減が予想されており、予想通りならば、5ヵ月連続での 雇用減少となる。
その場合、景気の悪化を反映した内容では あるが、バーナンキ議長を始めとしたFOMCボードメンバーの、 最近の発言から、利下げ期待は完全に後退しており、ネガティ ブな内容でも、反応は一時的なものになる可能性も見たいとこ ろ。
逆にポジティブサプライズならば、利上げ期待が高まり、大 きく反応する可能性もある。
よほど予想外の数値でもない限り、 市場は強い内容に反応しやすい地合いになっている印象だ。
あと前月の修正には注意したいところ。
◆ユーロ バーナンキ発言後の下げ戻す展開 10日線に到達 トリシェECB総裁が会見で、7月の利上げの可能性を排除しな いと、利上げの可能性を示唆したことから、ユーロは一斉に 買いが強まった。
これまでの発言からインフレ警戒を強く滲ま せてくることはあらかじめ予想されてはいたが、来月の利上げ の可能性まで示唆するなど、予想以上のタカ派となった。
ユーロドルは10日移動平均の1.5590近辺に一気に到達した。
3日のバーナンキFRB議長のドル安否定発言で、ユーロドルは 1.56台から本日の安値1.5360近辺まで、約48時間で250ポイン トほど下落していたが、その下げを取り戻す動きとなった。
ドルも買戻しが強まっている中、目先は10日移動平均の上を 完全回復できるかどうか注目される。

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