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最後の日は近づく挑戦に敗れ、ボランティア現場を去らねばならない私(ルポ:“弱者”として生きるアメリカ)
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- 「どうだった、Aの母親?」 私の顔を見るなり、テーラーが訊ねてきた(前回「『クレイジー』な母親との意外な会見」参照)。 「思ったより普通の人に思えたよ。彼女自身も、大学に復学したい、一緒に学びましょうよ! ってAの手を握っていた」 テーラーは左右に首を振りながら言った。 「ショーね。他者に同情されたい、あるいは“いい母を演じている”だけよ」 そうかもしれない。数時間の面談で、人間の素顔が見える筈もない。だが私は、努めて明るく話した。 「Aはいつになく真剣な表情をしていたから、少しはこちらの気持ちが通じたんじゃないかな」 「そうね。彼が一番長い付き合いだし、あなたとの別れるのは辛いでしょう」 実は私は、13年半過ごしたリノを離れることを決めていた。

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