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北京オリンピックと中国のガソリン需要
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1.原油市況;135ドル台に上昇
原油相場(WTI、期近物)は、5月21日の終値で1バレル=133.17ドルを記録し、その後の時間外取引では135ドル台まで上昇した。
21日に発表された米国の週次石油統計では、大幅な原油在庫の減少が示され、需給逼迫観測が強まった。
5月1日に112ドル台であった原油相場は、20日ほどで20ドル以上上昇している。
この間、ナイジェリアの生産障害や中長期的に油田開発投資が不足するとの懸念も指摘された。
対ユーロを中心としたドル安や、米証券会社等の原油相場見通しの上方修正も相場上昇の要因とされた。
企業業績の先行き不透明感などから主要国の株価が一進一退で推移する中、続伸を続ける原油相場を有望な投資先とする見方が投資家に広がったとの見方もある。
原油相場の先物カーブは、期近物をボトムに期先になるほど価格が高くなるコンタンゴになっている。
5月半ばまでは、期近物をピークに期先になるほど価格が安くなるバックワーデションであったが、その後、先行き見通しが大幅に変化している。
一方、原油やガソリンの先物市場における投機筋のポジションをみると、5月13日に終わる週にかけて、原油の買い越し幅は小幅拡大し、ガソリンの買い越し幅も小幅拡大した。
原油相場の上昇テンポは一段と速まっている。
しかし、原油相場は2007年の平均である72ドルから60ドル以上も上昇した水準にある。
世界の原油需要は年間300億バレル強であり、仮に原油相場が1バレルあたり60ドル上昇すると、年間2兆ドルも石油ユーザーの負担は増えることになる。
原油輸入国の経済は、原油高によって大きく下押しされることが懸念される。
石油の需要面では、価格高による需要減退や重油から天然ガス等への代替が表面化するとみられる。
夏場にかけて、ガソリン需要の増加観測が強まりやすく、原油相場の上昇は続く可能性がある。
しかし、実際には景気減速やガソリン価格上昇により、米国のガソリン需要は抑制されるとみられ、年末にかけて、いったん100ドル程度まで反落する可能性があろう。

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