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ロシアの生産低迷と原油需給のひっ迫
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1.原油市況;高値更新し、一時126ドル台
原油相場(WTI、期近物)は供給懸念を材料に連日で過去最高値を更新し、5月9日には1バレル=126.27ドルをつけた。
ナイジェリアでストライキや武装勢力の攻撃による生産障害が相次いでおり、供給懸念が相場の押し上げ要因となっている。
トルコ軍がクルド人勢力の活動拠点を爆撃したことや、米国で原油在庫の増加が続いているものの石油製品在庫が予想ほど増加しなかったことも買い材料視された。
このほか、米国の経済指標が予想ほどには悪化しなかったことも、景気減速が限定的との見方につながり、相場を押し上げた。
一方的なドル安には歯止めがかかったものの、ドル安にふれる局面では依然として買い材料となっている。
原油相場の先物カーブを見ると、期近物をピークに期先になるほど価格が安くなるバックワーデションが続いているものの、向こう2年ほど先については、ほぼ100ドル前後の水準が見込まれている。
一方、原油やガソリンの先物市場における投機筋のポジションをみると、原油については買い越し幅が縮小したが、ガソリンの買い越し幅は拡大した。
原油相場は供給懸念などから上昇ピッチを早めている。
しかし、一方で米国景気の先行きに対する過度の悲観論が後退しつつあり、原油高の要因とされてきたドル安には歯止めがかかりつつある。
相場は昨年から一本調子で上げており、原油在庫が増加傾向で推移していることもあり、調整が入りやすい地合いにあるとも考えられる。
また、実需面でも、ガソリン高やディーゼル高による一時的な需要減退や景気への悪影響、さらに重油から天然ガスへの代替が表面化するとみられ、一段の価格上昇には、ОPECをはじめ産油国からも警戒感が強まる可能性があろう。
さらに、米国では、景気減速やガソリン価格上昇により、ガソリン需給のひっ迫懸念は例年ほどには強まらないともみられ、年央にかけては、いったん100ドル程度まで反落する可能性があるとみられる。

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