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原油相場 大幅上昇―来年にかけ上昇基調
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1.5月の原油市況:大幅上昇
原油相場(WTI、期近物)は大幅に上昇し、5月29日の終値は1バレル=66.31ドルとなった(6月1日は68.58ドル)。
昨年末〜1月につけた1バレル=32ドルの安値に比べると、2倍以上に上昇している。
各国株価や金属価格などと同様に、原油相場も景気回復観測の広がりとともに上昇した。
また、米国石油週次統計により原油在庫の減少が確認されたこと、OPEC総会の開催に伴い産油国の価格政策への思惑が出てきたこと、なども買い材料であった。
景気指標が大幅に改善したり、原油の需給が急速に引き締まったわけではないが、株価や金属に比べて出遅れ感のあった原油は買われやすい環境になっていたと考えられ、特にドル安が進むタイミングで原油価格が上昇した。
OPEC総会の前後に、原油相場が70〜75ドルに回復するのが好ましいといった主旨の産油国サイドの発言が相次いだことも相場を押し上げる要因になったとみられる。
原油の油種間スプレッド(価格差)をみると、このところWTI安が是正されてきている。
一方、原油価格の先物カーブをみると、先高観測が根強いが、期先の価格が期近を上回る程度は小さくなっている。
先物市場における投機筋のポジションは売りと買いがほぼ均衡している。
また、商業筋も含めた先物の全建玉残高は下げ止まっている。
5月の原油相場は大幅に上昇し、他の商品や株式に比べた原油の出遅れ感は解消して、先高観測も弱まりつつあるように思われる。
また、依然として、石油製品や原油の在庫水準は高く、需給の引き締まり感は乏しい中で、米国の夏場のガソリン需要もそれほど伸びないとみられる。
一方で、物流関連や工業関連といった昨年後半以降に大幅に落ち込んだ分野の需要が今後、回復してくると見込まれる。
このところの急上昇は一服したとみられるが、当面、原油相場は底堅く推移し、来年にかけて上昇基調になろう。

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