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episode:2「旭山、お前はこの不景気はどのくらい続くと思う?」(第三企画室、出動す 〜ボスはテスタ・ロッサ)
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- 受話器を置いた旭山隆児は、さっきまで本を読んでいたテラスにもどった。 眼下には江ノ電の駅がある。クラブ活動の帰りらしく、日曜日なのに駅には数人の高校生が制服で列車が来るのを待っている。 遠く沖には、柔らかい三月の風を受けたヨットが滑るように走っていた。どの船も舳先を西に向けている。江ノ島湘南港へもどるのだろう。 予期せぬ電話のせいで灰皿のタバコは燃え尽き、支えを失ったフィルター部分がモザイクタイルのテーブルに落ちていた。可南子が生きていたら叱られるところだ。新婚の頃、ホームセンターで安く買ってきたテーブルをタバコで焦がして、可南子にこっぴどく怒られた。火事になったらどうするのと彼女はいったが。
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