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金融市場としての原油市場
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1.4月の原油市況:横ばい圏で推移
原油相場(WTI、期近物)は、1バレル=50ドルを挟み横ばい圏で推移している。
米国の今年1月から3月までの第1四半期の企業決算が、金融機関をはじめ予想されたほどには悪化しなかったことや、米GDP統計の個人消費をはじめ、改善を示す経済指標が増えたことを好感する買いが入った。
米国の週間統計で、24日時点の原油在庫は前週比+410万バレルと8週連続で増加し19年ぶりの高水準となったものの、ドライブシーズン入りを控え、ガソリン在庫が470万バレルと大幅減となったことも買い材料視された。
5月28日に予定されるOPECの次回総会での減産決定に向けた思惑も意識された。
3月の中国の原油輸入量が1年ぶりの高水準となったことも相場を押し上げた。
一方、原油在庫の高止まりに加え、相場を下押したのは、IMFが2009年の世界経済の成長率が戦後初めてマイナスになるとの見通しを示し、原油需要の一段の減少があらためて意識されたことや、豚インフルエンザの感染拡大による景気の先行き不透明感の強まりなどである。
3月は株高でユーロ高ドル安が進行したが、4月はドル買い戻しの動きが強まったことも原油相場の売り材料となった。
もっとも月末にかけて、米自動車メーカーの再建問題や、米金融機関の資産査定などの不透明要因からドル相場が軟調に推移したことは原油相場を下支えした。
原油の油種間スプレッド(価格差)をみると、WTIがブレントやドバイに対し割安化する動きは再び解消している。
原油価格の先物カーブは、期先の価格が期近を上回る状態が続いており、先高観測が根強い。
先物市場における投機筋のポジションは売りと買いがほぼ均衡し、商業筋も含めた先物の建て玉も減少傾向にある。
原油市場では、このところ強弱両材料が入り交じる中、景気や原油需要の先行きに対する見方が定まらず、方向感に乏しい展開が続いている。
経済指標の改善を手がかりに、年後半からの回復期待が膨らむ反面、米金融機関への経営不安は完全に払拭されておらず先行き警戒感も根強い。
当面は石油化学関連や輸送用燃料を中心に、緩やかな需要回復が続くと見込まれ、原油相場は50ドル前後で推移し、年後半には緩やかな上昇基調になるとみられるが、下ぶれリスクも大きくはらんだ展開となる見通しである。

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