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「私のやってきたことになんら奇もない、策もない」〜泥亀、戦火の海に沈みゆく(泥亀サバイバル〜金ぴか偉人伝・2)
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- (イラスト:茂本ヒデキチ) (前回から読む) 山下亀三郎が精魂を傾けた日中和平工作は、夢物語に終わった。 日米開戦前夜、政府間交渉が暗礁に乗り上げるのを眺めながら、山下は、側近に嘆いた。 「こりゃいけない。この交渉は役人や軍人がやることじゃない。日本の財界を代表する人が渡米して話さなければ、まとまらないよ」 商人は「損して得を取る」交渉に長けている。商売は、白か黒かではなく、灰色決着でも関係を保ち続けることができる。だが四角四面の役人や自己をリアルに認識できない軍人には、それが難しい。 超大国のアメリカと腹を割って融通無碍に交渉できる財界人……山下は誰を思い浮かべていたのだろう。
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