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日米の石油需要から窺える景気動向
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1.原油市況:横ばい圏で推移
原油相場(WTI、期近物)は、1バレル=50ドルを挟んで一進一退で推移している。
米国などの経済指標の一部が下げ止まりや好転の兆しを見せ始めたことを背景に、景気の先行きに対する悲観的な見方が弱まっているものの、今のところ、過剰気味とみられる原油在庫が減少するほどの需給改善の動きはみられていない。
OPECが大幅な減産を行っているものの、新規油田の開発が進んだブラジルなどからの供給が増加しており、大産油国のロシアは減産の姿勢をみせていないとされる。
米国の週次石油統計では、原油や石油製品の在庫が増加傾向にあることが示された。
また、国際機関の石油需要見通しは、引き続き下方修正が行われている。
一方で、景気対策の効果が見込まれる中国需要の増加観測や、米国の景気悪化に一定の歯止めがかかったとの見方もあり、先行き石油需要が持ち直すことが見込まれつつある。
原油の油種間スプレッド(価格差)をみると、再びWTIがブレントやドバイに対し割安化する動きがみられる。
原油価格の先物カーブは、期先の価格が期近を上回る状態が続いており、先高観測が根強い。
先物市場における投機筋のポジションは小幅な買い超しが続いている一方で、商業筋も含めた先物の建て玉は減少傾向にある。
ナフサなど石油製品の一部では需要がやや持ち直し、昨年後半にみられたような極端な荷余り状態は解消されているものの、石油市場全般をみれば依然として需要は力強さを欠いている。
販売数量の大幅な回復が見込みにくい中、供給サイドは原油市場、石油製品市場ともに市場シェアを重視する販売戦略になりやすい。
このため、在庫の積み上がりや値崩れが起こりやすく、上値を抑える要因になる。
一方で、リーマン・ショック以降の強い先行き不透明感により過度に抑制された企業活動が徐々に持ち直し、中国等の景気対策効果も期待されるため、石油化学関連や輸送用燃料を中心に、緩やかな需要回復が続くと見込まれる。
原油相場は当面50ドル前後で推移し、年後半には緩やかな上昇基調となろう。

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