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需給バランスに改善の兆し
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1. 原油市況:4ヶ月ぶりの高値となる50ドル台に上昇
原油相場(WTI、期近物)は、2月13日につけた1バレル=33.98ドルをボトムに反発に転じ、3月26日には、54.34ドルと昨年11月以来4ヶ月ぶりの高値水準を回復した。
原油相場は1ヵ月半の間に7割も上昇したことになる。
この間、相場を押し上げたのは、ドルが対ユーロで軟調に推移したことや、OPECの追加減産期待などであった。
また、金融市場全般でリスク回避姿勢が弱まり、回復基調が続いたことにより、国際機関などの需要予測の引き下げなど、悲観的な材料に過度に反応していた相場の地合いが変化してきた。
加えて、リスク資産投資が徐々に回復したことも、相場反発の一因となった。
一方、週間在庫統計で、米国の原油在庫の増勢に歯止めがかからないことは、上値を抑制する要因となった。
原油の油種間スプレッド(価格差)をみると、WTIが割安な状況は解消され、逆にブレントやドバイに対し割高な状態にある。
一方、原油相場の先物カーブをみると、期先の価格が期近を上回るコンタンゴの状態が続いているものの、1〜2月に比べると、期先の価格がそれほど変わらない中、期近物の価格上昇幅が大きく、先物カーブが平準化している。
先物市場での投機筋のポジションは、一時売り越していたが足元で再び買い超しに転じている。
商業筋も含めた先物の建て玉については、増加傾向に一服感がみられる。
原油需要の減少が市場で相当程度織り込まれるのと対照的に、OPECの大幅減産が、需給バランスの悪化に歯止めをかけるとの見方が広がっている。
かつてのような価格支配力がないとはいえ、大幅減産を高い遵守率で続けるOPECの行動は、需給悪化懸念が残る足元の相場に対しては、押し上げ効果をもつとみられる。
経済情勢については、需給が引き締まりに転じるような状況ではなく、欧米の金融システム不安や事業会社の経営危機がくすぶる中、先行きの回復期待がはく落すれば、金融市場全般が、再び動揺を強める可能性が非常に高い。
その場合、原油相場は再び下値を試すことにもなろう。
もっとも、しばらくは、リーマン・ショック以降の強い先行き不透明感により、過度に抑制された企業活動が徐々に持ち直し、石油化学関連需要や輸送用燃料の一部も回復するであろう。
中国等の景気対策効果も期待され、原油相場は当面50ドルをはさんで推移する見通しである。

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