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調整圧力が残る石油市場
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1.原油市況:下落に歯止め
原油相場(WTI、期近物)は、2月後半以降、上昇している。
米国を中心に景気下振れ懸念は続いているものの、中国の景気対策により需要が下支えされるとの見方、米国週次石油統計において原油在庫の水準が予想を下回ったこと、OPECの追加減産観測などが材料とされた。
昨年12月以降の原油相場全般は総じて一進一退で推移する中で、WTI期近物は他の原油に比べて大幅に割安化していったが、足元にかけてそれが解消してきている。
WTIが安値をつけた背景には、現物受け渡し場所であるクッシングの在庫が高水準にあり、WTI原油の現物の荷余り感が著しかったことがあったが、このところ、クッシング在庫の増加に歯止めがかかっている。
最近の原油の油種間スプレッド(価格差)をみると、1〜2月に比べWTIの割安な状況が縮小する動きが出ている。
一方、原油相場の先物カーブをみると、1〜2月に比べ期先物の価格はそれほど変わらない中で、期近物の価格の上昇が大きくなっている。
先物市場における投機筋のポジションをみると、足元では投機筋の買い超幅が縮小しており、商業筋も含めた先物の建て玉についても、昨年秋からの増加傾向に一服感がみられる。
欧米を中心とした金融システム不安が続く中で、金融市場全般でリスク資産投資を縮小させる動きが続き、原油相場にも影響したとみられる。
また、原油の実需の落ち込みについての懸念も続いている。
もっとも、すでに市場では、原油需要の減少を相当程度織り込んでいるとみられ、需要減少を連想させる材料への反応は小さくなっている。
OPECの追加減産については、余剰生産力を拡大させ、加盟国の足並みの乱れが広がる可能性もあり、必ずしも原油価格を押し上げるとは限らないが、荷余り感による現物や期近物の価格抑制圧力を弱める効果はあるだろう。
急速な景況感の悪化が一巡してくると、先行きに対する警戒感から抑制されていた企業活動がある程度は持ち直し、石油化学関連需要や輸送用燃料も一部は回復するだろう。
中国等の景気対策の効果もあって、原油相場は、徐々に下値を切り上げていく可能性がある。

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