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「驕るなよ 月のまるきも ただ一夜」(泥亀サバイバル〜金ぴか偉人伝・2)
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- (イラスト:茂本ヒデキチ) (前回から読む) 瀬戸内の海風が、山下亀三郎の黒光りする額をなでている。 山下は、得意満面であった。 石炭商売と御用船の貸し出しで、日露戦争が終わると150万円もの純益を手にした。大バブルの恩恵に浴した。前回も紹介したが、当時の総理大臣の年俸は1万円少々(現在は約4000万円)。荒っぽく換算すれば、現代なら60億円以上のカネを儲けたことになる。 山下は、故郷に錦を飾ろうとしていた。 門司で妻と長男を伴って喜佐方丸に乗り込んだ。船は、関門海峡から瀬戸内海に入り、南下した。佐田岬をかすめ、針路を東へ。澄み切った宇和海を進む。入り組んだ海岸が亀三郎の眼前に迫った。
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