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2008年後半の石油需給の変化
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1.原油市況:期近物が一時32ドル台まで下落
原油相場(WTI、期近物)は、12月15日に一時1バレル=50ドルまで上昇したものの、その後は大幅に下落し、19日には一時32ドル台をつけた。
24日の終値は35.35ドルであった。
5日に40.50ドルまで下落した原油相場が15日にかけて50ドル台にまで上昇した背景には、米自動車メーカー救済案が議会で可決するとの期待が強まったことや、サウジアラビアが10月にOPECにより決定された減産を速やかに実施していることを明らかにしたことがあった。
しかし、米自動車メーカーの救済案は、12日に議会での審議が決裂し、景気の先行き不透明感が強まったことや、OPECによる大幅減産が決定されたものの、原油需要の下振れ観測も根強く、相場は下落を続けた。
米国オクラホマ州クッシングの在庫水準が大幅に増加したこともあり、2009年1月物の最終取引日となる19日には1バレル=32ドル台まで下落した。
2009年2月物は、40ドルを上回って推移していたが、24日には35.35ドルに下落した。
同日発表された米週間石油統計では、原油在庫が前週比310万バレル減少したものの、ガソリン在庫が+334万バレル、中間留分が+181万バレルと製品在庫が増加したことが需給緩和観測を強めた。
最近の原油の油種間スプレッド(価格差)をみると、WTI安が目立っている。
通常、WTIの価格は、ガソリンなどが精製しやすいなどの理由により、ブレントやドバイよりも高いが、足元では逆転が生じている。
一方、原油相場の先物カーブをみると、数年先にかけて先高感があり、先行き相場が持ち直すとの見方が多いとみられる。
また、先物市場における投機筋のポジションをみると、足元では投機筋の買い超幅が拡大している。
商業筋も含めた先物の建て玉をみると、2007年半ばにピークをつけ減少が続いていたが、足元では減少に歯止めがかかっている。
しばらくは実体経済の悪化を背景にした原油需給の緩和観測がなお強まる可能性がある。
米国など各国政府の経済対策への期待が高まっているものの、景気指標の悪化などにより下値模索が続く可能性がある。
もっとも、低価格による油田開発の停滞が懸念されるなど、足元の原油価格は中長期的に需給を安定させる水準を下回ってきているとの見方が増えてきている。

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