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中国の景気対策と原油相場
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1.原油市況:50ドル台前半に下落
原油相場(WTI、期近物)は、世界景気の低迷により石油需要が鈍化するとの観測が強まり、大幅に下落している。
13日には一時1バレル=54.67ドルと昨年1月以来1年10ヶ月ぶりの安値をつけた。
その後、米国の石油在庫の伸び悩みや、OPECが臨時総会の開催を発表したことなどから買い戻され、14日の終値は1バレル=57.04ドルであった。
新興国を含め世界的に原油需要が低迷するとの見方が広がったことが、相場の下押し圧力となっている。
OPECの追加減産観測に加えて、株価に持ち直しの動きがみられたこともあり、4日には一時71ドル台まで戻す場面もあったが、米国と欧州がそろってマイナス成長となったことや、米ISM指数、雇用統計など、主要経済指標が大幅に悪化したことが明らかとなるたびに売り圧力に押される展開が続いた。
最近の原油の油種間スプレッド(価格差)をみると、7月頃に比べると、WTIは持ち直し、ドバイやブレントが割安化している。
米国原油の供給障害の影響や欧州・アジアの需要鈍化観測がその背景として考えられる。
一方、原油相場の先物カーブをみると、数年先にかけて緩やかな先高感がある。
足元の需給が緩和しているが、先行きは価格が持ち直すとの見方が多いと推察される。
また、先物市場における投機筋のポジションをみると、6月後半以降売り買いが拮抗する中、足元では小幅な売り超で推移している。
また、商業筋も含めた先物の建て玉をみると、2007年半ばにピークをつけ、2008年7月以降は減少傾向が強まっている。
最近の原油相場は、世界景気の先行き懸念を背景に株式相場と連動する傾向が強まっている。
目先はOPECの協調減産がさらに強化されるとの観測が下値を支えるとみられるものの、金融市場に明瞭な改善の動きがみられるまでは、原油相場の下落傾向が今後も続く可能性が高い。
2009年にかけては、先進国での需要減少が相場に織り込まれる一方で、新興国の需要の底堅さが明らかになるにつれて70ドル台に戻す可能性があるものの、当面は世界景気が一段と悪化する中で50ドル台での推移が続く見通しである。

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