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投資・金融・経済辞書/用語集  >   >  欧州中央銀行(ECB)とは

欧州中央銀行(ECB)とは

欧州中央銀行本店があるユーロ・タワー
本店 ドイツ・ フランクフルト
位置 北緯50度6分34秒東経8度40分26秒
設立 1998年6月1日
総裁 ジャン=クロード・トリシェ
通貨 ユーロ
ISO 4217 コード EUR
準備高
基準貸付利率 3.25%
預金基準金利 2.75%
ウェブサイト ecb.eu
前身
欧州連合
欧州理事会
欧州連合理事会
欧州委員会
欧州司法裁判所
欧州投資銀行
欧州中央銀行
基本条約
欧州議会
政党・会派
選挙
加盟国

欧州中央銀行(おうしゅうちゅうおうぎんこう)はユーロ圏15か国の金融政策を担う中央銀行。世界でも重要な位置づけをされている。英語表記の頭文字を取ってECBと略される。

欧州中央銀行は1998年6月1日に設立され、本店をドイツのフランクフルトに置く。

目次

  • 1 組織
    • 1.1 役員会
    • 1.2 総裁
    • 1.3 欧州中央銀行制度
  • 2 目的・業務
    • 2.1 目的
    • 2.2 業務
  • 3 批判
    • 3.1 インフレターゲット
    • 3.2 独立性
  • 4 所在地
  • 5 関連項目
  • 6 脚注
  • 7 外部リンク
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組織

欧州中央銀行の組織はドイツ連邦銀行およびドイツの州立銀行をモデルにしている。

欧州中央銀行は総裁を長とする役員会と、役員会の構成員および欧州中央銀行制度のもとにおかれる各国の中央銀行総裁からなる政策理事会によって運営されている。

役員会

役員会は中央銀行としての方針を策定する6人で構成される。役員はユーロ圏各国の全会一致での決定を受けて指名される。2005年には暗黙のうちに合意された結果として、役員6名のうち4名はユーロ圏でも大国とされるフランス、ドイツ、イタリア、スペインの中央銀行出身者で占めることとなった。[1]

総裁

1999年、オランダ銀行総裁、オランダ大蔵大臣を歴任したウィム・ドイセンベルクが初代総裁に就任、2003年11月にはジャン=クロード・トリシェが後継となっている。また副総裁をルーカス・パパデモスが務めている。

欧州中央銀行制度

欧州中央銀行制度(ESCB)は欧州中央銀行および欧州連合(EU)加盟27か国の中央銀行で構成される。このためユーロ圏の金融政策はユーロシステムと呼ばれ、この体制は欧州中央銀行とユーロ圏の中央銀行理事会で構成される。

目的・業務

目的

欧州中央銀行および欧州中央銀行制度の主たる目的は、ユーロ圏における物価の安定であり、たとえばインフレーション率を低く抑えるというものが挙げられ、現在の目標水準は2%程度としている。

さらに物価安定の目的を妨げない限りにおいて、EUの経済政策を支援するという目的もある。マーストリヒト条約第2条以下にはEUの政策について、高い水準での雇用の創出とインフレーションによらない経済成長の維持がうたわれている。

業務

ユーロタワー前に置かれているユーロのエンブレムを模ったモニュメント

欧州中央銀行の主たる業務は、上記の目的を追求するためのユーロ圏における金融政策の実施である[2]。 これらの目的を実施するために、以下の手段が挙げられる。

  • 公開市場操作
  • 預託機関 - 民間銀行の資金預託
  • 資金貸付機関 - 民間企業に対する資金貸付

このほかに以下の業務が挙げられる。

  • 外国為替市場への介入およびユーロ圏諸国の準備通貨の保有と運用。外貨準備高の合計は400億ユーロにのぼり、その30%以上はドイツ連邦銀行の、およそ20%はフランス銀行のそれぞれ金準備である。各国の中央銀行は準備金および準備外貨を保有しているが、マーストリヒト条約のもとでこれらは欧州中央銀行に預託されている。
  • 決済システムの円滑な運営の促進

次に上げる業務は欧州中央銀行の付帯的業務とされている。

  • 紙幣 - 欧州中央銀行はユーロ圏の紙幣発行について排他的権限を有する。
  • 統計 - 欧州中央銀行は各国の中央銀行と協力して自らの業務の実行のために、各国の当局や、あるいは直接的に経済主体から統計情報を収集する。
  • 金融安定・監督 - ユーロシステムは金融機関に対する慎重な監督や金融システムの安定に携わる当局による円滑な政策実行に寄与する。
  • 国際・欧州内協力 - 欧州中央銀行はユーロシステムに委託された業務について、EU域内においても、また国際的にも関連機関との協力関係の維持に当たる。

批判

欧州中央銀行に対して、以下の2点で批判がある。

インフレターゲット

欧州中央銀行は各国のユーロ紙幣を発行している

欧州中央銀行はイングランド銀行のように対称性をもつインフレターゲットを採用するべきだとする経済学者が多くいる[3]。イングランド銀行はインフレターゲットを2%±1%としているのに対して、欧州中央銀行は「2%以下であり2%近くにする」と、曖昧なものとしている。

批判する者の中には、欧州中央銀行に課せられた目標が不適切であると考える者がいるが、欧州中央銀行はインフレ率の調整のために金利を設定している。また目的の範囲が狭すぎるため、経済情勢のより広いニーズに対して妥当でない金利決定がなされていると考える者もいる。このようなインフレターゲットに関する批判は欧州中央銀行に限らず、多くの中央銀行でも言われるものである。

欧州中央銀行による低金利設定は地価バブルが起っているヨーロッパの地域では適当なものではないという批判があり、この低金利はアイルランドの地価バブルの要因となっている。低金利はユーロ圏全体としてデフレーション回避のために設定されている。

独立性

欧州中央銀行総裁 ジャン=クロード・トリシェ

欧州中央銀行は政治的介入を受けずに、独自に業務を行う中央銀行と規定されている。その目的と権限は政治的に定められたものではあるが、目標達成のために権限をどのように行使するかについての意思決定は欧州中央銀行自体で行われ、業務上の独立性が保障されている。EU域内の各国の中央銀行の多くはユーロ圏外にあり独立性を有している。デンマーク国立銀行、イングランド銀行にも類似規定が存在する。

経済学者には一致した見解として、独立した地位を持つ中央銀行の存在は政治的目的でマクロ経済の操作を回避するためには最良の手段であるというものがある。他方で、一部の国において中央銀行が独立性も非独立性も有していないことがある。この背景には経済運営上の都合やインフレ阻止のための信頼性確保などがあるが、このような状況でも民主主義の観点から説明責任は存在する(例示すると、カナダ銀行やニュージーランド準備銀行などがある)[4][5]。

一部では欧州中央銀行の独立性は非民主的なものであるという見方があり、また意思決定の過程や目標に対する批判の声もある。その内容は、欧州中央銀行はEU市民の大多数に対して情報を提供することが少なく、独立した地位を有していることから融通性がなく、また人権侵害や自然環境といった点から貨幣経済をとらえたときのその影響力に関してフィードバックのメカニズムから分断されているというものである。

欧州中央銀行は自身の提唱する案件に関してコメントを発表したり求めるといったことをしていない。自身の行為や決定の発表後でも市民に対して直接意見を求めるといったことをウェブページ上で行っていないのである。内部における会議の詳細も、役員会の内部分裂を隠すために明らかにしないのだと言われている。

欧州中央銀行は欧州議会と欧州連合理事会に対して説明責任を負っている。欧州連合理事会は欧州中央銀行総裁、副総裁およびほかの役員会の役員を指名する権限を持っている。指名された候補者はまず欧州議会の承認を受けなければならず、続いて欧州連合理事会の承認を経て、各役員の担当分野を決定する。欧州中央銀行総裁は法の定めにより、欧州議会総会において年間報告書を提出することとされている。さらに総裁および役員会の代表は年4回、欧州議会経済通貨委員会において報告することとされている。このような報告は欧州議会または欧州中央銀行の求めに応じて定例外に行うことができる。

EU市民は間接的ではあるが、国内の民主的な手段である選挙を通じて欧州中央銀行の政策決定に影響力を持つ。だが経済の見通しの変動が民主的な手段によって示された場合、選挙された政治家には直接その変動を欧州中央銀行に伝えられないということがある。

所在地

欧州中央銀行はユーロ圏最大の金融センターであるフランクフルトに本店を構えているおり、その所在地は他のEU機関とともにアムステルダム条約で定められている[6]。欧州中央銀行はフランクフルトの新本店ビルが建設されるまで、ユーロタワーに本店を置くことになっている[7]。

2003年1月5日、一人の男がモーターグライダーを盗み、そのグライダーでフランクフルト中心街の高層ビル群を旋回し、欧州中央銀行に突っ込みそうになるという事件が発生した。その男は2時間後に無事着陸し、その後逮捕された。男は31歳の精神障害者で、テレビ報道に対してチャレンジャー号爆発事故で死亡したアメリカ人宇宙飛行士ジュディス・レスニックの気を惹きたかったと話している[8]。

1999年、欧州中央銀行は国際建築コンペティションを開いて新本店ビルのデザインを募集した。結果ウィーンを拠点に活動する設計事務所コープ・ヒンメルブラウが優勝した。新本店の本館ビルおよび周辺に建てられる関連ビルは約180メートルの高さを持ち、フランクフルト東部の卸売市場跡を臨む眺望をもつ。建設は2008年10月から始まり、2011年末までには完成する予定となっている[9][10]。新ビルはヨーロッパを代表する建築物となり、収容力もユーロタワーに勤務する職員の2倍となることが期待されている[7]。

関連項目

  • 欧州連合の経済
  • 欧州連合の機構
  • 欧州中央銀行制度
  • ユーロ
  • ユーロ圏
  • 欧州為替相場メカニズム
  • 欧州連合の経済通貨統合

脚注

  • ^ Carter Dougherty Spotlight: Optimist joins ECB in gloomy times インターナショナル・ヘラルド・トリビューン 2005年5月28日(英語)
  • ^ GUIDELINE OF THE EUROPEAN CENTRAL BANK - 現行の欧州中央銀行の金融政策に関するガイドライン 2005年12月30日 (英語、PDF形式)
  • ^ Treasury doubts on the euro 英国放送協会 2006年7月5日
  • ^ Michael King Politicians and the Bank of Canada: Inflation Targeting as an Alternative to Independence ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス (英語、PDF形式)
  • ^ J. Matthew Clark The Bank of Canada, Accountability and Legitimacy: Some Proposals for Reform pp.330-341 トロント大学出版局 1996年 (英語、PDF形式)
  • ^ 欧州中央銀行制度および欧州中央銀行に関するマーストリヒト条約付帯議定書 (英語、PDF形式)
  • ^ a b Carter Dougherty In ECB future, a new home to reflect all of Europe インターナショナル・ヘラルド・トリビューン 2004年11月16日 (英語)
  • ^ Frankfurt crash threat ends safely CNN 2003年1月6日 (英語)
  • ^ 新本店ビルの完成予想図 欧州中央銀行サイト内 (英語ほか20言語)
  • ^ Launch of a public tender for a general contractor to construct the new ECB premises 欧州中央銀行プレスリリース 2007年7月10日 (英語ほか21言語)
  • 外部リンク

    • 欧州中央銀行 (EU公用21言語)
    • 欧州中央銀行 - 駐日欧州委員会代表部による
    • EUの金融政策 - 外務省による
    • 欧州中央銀行月報の創刊号より(資料) - 日本銀行国際局国際調査課による
    • europe Magazine『トンマーゾ・パドア=スキオッパ欧州中央銀行(ECB)理事に聞く』1999年5/6/7月号(駐日欧州委員会代表部)
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