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人民元改革
人民元改革(じんみんげんかいかく)とは、中国の通貨である人民元を2005年7月より管理フロート制(管理変動相場制)へ移行し、同時に通貨バスケット制を導入した事をいう。変動相場制を採り入れる事で通貨の価値が事実上上がるとの観測から、「人民元切り上げ」などとも呼ばれる。
目次
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概要
2005年7月21日に中国人民銀行により発表された人民元の切り上げは、温家宝首相が2005年3月の全国人民代表大会の閉幕後の記者会見において、「いつ、どんなやり方をするかは意表をつく事になる。」と明言していたものであった。また、温家宝首相は2005年6月に天津で開催されたアジア欧州会合(ASEM)財務相会議において、中国自身によって決断する「主体性」、為替の乱高下防止のための「制御可能性」、改革を徐々に進める「漸進性」、という人民元改革の3原則を表明しており、それに合致する形での改革に至った。
これら一連の動きは、世界経済への影響の大きさなどから、1971年のニクソンショックと1985年のプラザ合意に次ぐ「国際通貨史の第3の転換点」として注目されるものであった。
変動相場制
一般に経済力に対し20 - 30%過小評価されているという人民元の為替レートを、約2.1%(1ドル=8.28元から1ドル=8.11元へ)引き上げ、加えてそれまでの固定相場制から前日比0.3%までの変動とする管理フロート制へ移行した。
中国政府は当初「5%切り上げ案」と「2 - 3%切り上げ案」の2案を検討したが、国内総生産(GDP)の減少や消費者物価の低下により経済がデフレに陥る可能性への懸念から、2%の切り上げ幅にとどめる事とした。
通貨バスケット制
アメリカドルのみと連動させてきたそれまでの制度から、アメリカドル・日本円・欧州ユーロ・韓国ウォンを主要通貨に、シンガポールドル・イギリスポンド・マレーシアリンギット・ロシアルーブル・オーストラリアドル・タイバーツ・カナダドルという、11の通貨による通貨バスケット制度に切り替えた(ただし、通貨比率は発表されていない)。
これにより為替レートでの急激な変動を抑えることができる。これは、貿易量に応じてバスケットの為替レートが変動する事によりある国の通貨との間で起きた変動幅がバスケット全体の中では緩和されるためである。
改革の背景
改革の背景には、以下のようなものがあるとされる。
- アメリカへの配慮
- インフレ圧力の緩和
- エネルギー資源の輸入価格の上昇
人民元の歴史
- 固定相場制(1949年 - 1971年)
- 通貨バスケット制(1972年 - 1980年)
- 二重相場制(1981年 - 1993年)
- 管理フロート制(1994年 - 1997年)
- 固定相場制(1997年 - 2005年)
- 管理フロート制・通貨バスケット制(2005年 - )
予想される影響
中国経済
現在の中国は「労働集約型産業」という産業形態によって、豊富かつ安価な労働力による低コスト・低価格の製品を大量に生産し、「世界の工場」として国際市場で優位に立ってきた。これこそが中国の経済急成長の牽引役であり、今後もこの産業形態を維持する事が継続的な経済成長には欠かせないため、中国は海外からの対中投資を促進し、外資企業の進出による雇用を創出してきた。しかし、元の切り上げにより海外の企業にとっては中国に投資するためのコストが上がるため、進出する海外企業は減少する可能性があるが、一方、元の切り上げにより、元の購買力も上がる、中国の貿易構造は海外から原材料を輸入し、国内で加工してまだ第三国に輸出するの仕組みになるので、元の切り上げで外資系のコストが上がる同時に、元の購買力も上がるので、コスト上昇することを吸収できる、
日本・世界経済
安い労働力を理由に生産拠点を中国国内に設け日本に輸出していた繊維・機械などの産業は競争力が低下すると見られている。軽加工品は単価が安くコストの上昇分を価格に転嫁しづらいため、中国から南アジアや東南アジアといったより労働力の安い新興国へと、生産拠点の移転などの対策を迫られるような事態を招く可能性がある。
人民元高に連動した「円高ドル安」の進行による、欧米に輸出している企業への影響も懸念されている。円高ドル安により輸出企業の競争力が低下し輸出が減少、日本の景気を停滞させる一因となるというものである。
また、元高で原油の輸入価格が下がり購買力が増すと、中国の消費者の原油需要が上向くため、それを見越した投機筋が原油を買い進める動きが強まり、原油価格がさらに高騰するという見方もある。原油だけでなく、鉄鉱石や穀物などでも同じような動きが広まる可能性がある。
一方、中国が通貨制度に柔軟性を持たせ、市場メカニズムを通じて加熱気味の国内経済をソフトランディングできれば、日本の輸出企業や現地に進出している企業は利益を継続的に享受できるため、日本の景気が踊り場から脱却する一助ともなりうる。また、中国からの輸入品の価格高騰は日本国内のデフレの解消にもつながり、中国へ輸出している企業の競争力の向上につながれば輸出が増加する、などのメリットも見込まれている。
主な関連書物
- 榊原英資(通称:ミスター円)「人民元改革と中国経済の近未来」角川書店 ISBN 4047100145 (2005)
- 渡辺賢一「人民元の教科書」新紀元社 ISBN 4775304291 (2005)
- 小口幸伸「人民元は世界を変える」集英社 ISBN 4087203158 (2005)
- 関志雄・中国社会科学院世界経済政治研究所「人民元切り上げ論争」東洋経済新報社 ISBN 4492681256 (2004)
- 大久保勲「人民元切上げと中国経済」蒼蒼社 ISBN 4883600521 (2004)
関連項目
- 兌換元(外貨兌換券)
- 香港ドル
- マカオ・パタカ
- マネーサプライ
- ハードカレンシー
- アジア通貨単位(ACU)
- アラン・グリーンスパン
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中国における経済政策決定メカニズム―景気過熱、金融改革、人民元はどうなるのか 人民元改革と中国経済の近未来 (角川oneテーマ21) |
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