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ユーロ圏

ユーロ圏(ユーロけん)は通貨ユーロを導入している欧州連合 (EU) 加盟国。ユーロゾーン、ユーロランド、ユーロ体制ともいう。ユーロ圏において通貨政策を担うのは欧州中央銀行である。

目次

  • 1 ユーロ導入国
    • 1.1 EU加盟国
    • 1.2 協定によりユーロを使用している非EU加盟国
    • 1.3 正式な協定を締結せずにユーロを使用している国・地域
  • 2 非ユーロ圏のEU加盟国
    • 2.1 ERM-II対象国
      • 2.1.1 デンマーク
      • 2.1.2 エストニア
      • 2.1.3 ラトビア
      • 2.1.4 リトアニア
    • 2.2 ERM-II非対象国
      • 2.2.1 ブルガリア
      • 2.2.2 チェコ
      • 2.2.3 ハンガリー
      • 2.2.4 ポーランド
      • 2.2.5 ルーマニア
      • 2.2.6 スウェーデン
      • 2.2.7 イギリス
        • 2.2.7.1 ポンド地域
        • 2.2.7.2 連合構成国の紙幣
      • 2.2.8 通貨切替を行っていないEU加盟国のユーロ導入
  • 3 ユーロと相場を固定している通貨を持つEU非加盟国
  • 4 ユーロの影響を受ける住民
  • 5 圏内のインフレーション率
  • 6 財政政策
  • 7 脚注
  • 8 関連項目
  • 9 外部リンク
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ユーロ導入国

 ユーロ圏

 マーストリヒト条約でユーロ導入が義務となっているEU加盟国

 ユーロ導入に関して例外の適用を受けているEU加盟国(イギリス)

 ユーロ導入に関して例外の適用を受けているが国民投票の実施を予定しているEU加盟国(デンマーク)

 正式な合意によりユーロを使用しているEU非加盟国

 正式な合意なしでユーロを使用しているEU非加盟国

EU加盟国

1998年、11のEU加盟国がインフレーション率、政府財政水準、為替相場の状況、長期金利などの収斂基準[1]を満たし、1999年1月1日にユーロの導入が正式に開始されて、ユーロ圏が誕生した。2000年にはギリシャが基準を満たし、2001年1月1日にユーロに移行した。2002年1月1日より実際の硬貨や紙幣の発行・流通が開始された。2006年にはスロベニアが基準を満たして、2007年1月1日よりユーロ圏入りを果たした。さらに2008年1月1日にはキプロスとマルタで、2009年1月1日にはスロバキアもユーロが導入された。これによりユーロ圏は以下の計16か国、人口3億2800万人を擁する経済圏となっている。

  • オーストリア
  • ベルギー
  • キプロス キプロス(キプロス島内にあるイギリス主権基地領域アクロティリおよびデケリアを含むが、新トルコリラを使用する北キプロス・トルコ共和国は除く)
  • フィンランド フィンランド
  • フランス(CFPフランを使用する太平洋上の海外領土を除く)
  • ドイツ
  • ギリシャ
  • アイルランド
  • イタリア
  • ルクセンブルク
  • マルタの旗 マルタ
  • オランダ(アルバ・フローリンを使用する アルバ、アンティル・ギルダーを使用するオランダ領アンティルの旗 オランダ領アンティルを除く)
  • ポルトガル
  • スロバキアの旗 スロバキア
  • スロベニア スロベニア
  • スペイン

協定によりユーロを使用している非EU加盟国

  • モナコの旗 モナコ
  • サンマリノ
  • バチカン

モナコ、サンマリノ、バチカンはユーロ圏やEUを構成する国ではないが、ユーロ圏諸国と同様にユーロを使用している。これらの国ではかつて、ユーロに切り替えられた通貨を使用しており、バチカンとサンマリノではイタリア・リラと固定されていた通貨(バチカン・リラ、サンマリノ・リラ)を、モナコではフランス・フランと1:1で固定されていたモネガスク・フランをそれぞれ使用していた。

これらの諸国では欧州共同体 (EC) にかわって、サンマリノとバチカンはイタリアと、モナコはフランスとそれぞれ協定[2]を締結した上でユーロを使用している。各協定は欧州委員会および欧州理事会において承認を受けている。結果、モナコ、サンマリノ、バチカンは毎年一定の量のユーロ硬貨について、それぞれ独自のデザインを施して発行することができる。実際にはモナコのユーロ硬貨はフランスで、バチカンとサンマリノのユーロ硬貨はイタリアでそれぞれ鋳造されているが、バチカンやモナコ・サンマリノが発行した硬貨はユーロ圏の各国で有効であり、また逆にユーロ圏各国の硬貨もこれら3国で通用する。

サンマリノ、モナコとバチカンは独自のユーロ紙幣は発行しておらず、ユーロ圏諸国で作成された紙幣を使用することになる。

正式な協定を締結せずにユーロを使用している国・地域

  • アンドラ
  • モンテネグロ
  • コソボ

アンドラは正式な通貨を持っておらず、そのため独自のユーロ硬貨を有していない。かつてはフランス・フランやスペイン・ペセタを事実上の法定通貨として使用していた。アンドラはスペインやフランスとは特段の通貨協定を締結していないが、EUはアンドラでのユーロの公式な地位に関して交渉を行っている。アンドラ政府によると、2006年にはアンドラ独自のユーロ硬貨を鋳造するはずであったが、2007年1月の時点では実現していない[3]。

同様にモンテネグロとコソボは、かつてはドイツマルクを事実上の通貨としていたが、現在はユーロを導入している。ただしEUは両国・地域でユーロを使用することを明確に認める正式な協定を結んでいない。コソボは主に政治的理由からセルビア・ディナールを廃し、ユーロを使用している。

2002年12月1日、北朝鮮は国際貿易の決済に使用する通貨をアメリカ合衆国ドル(USドル)からユーロに切り替えた。北朝鮮の通貨ウォンは非兌換であり、そのため外国製品の購入には使用できない。ユーロはまた北朝鮮国内で、とくに在住する外国人の間で流通している。キューバも1998年に同様の措置を行うことを発表しており[4]、2006年にはシリアも北朝鮮に続いた[5]。

2003年のイラク戦争に先立ち、大統領サッダーム・フセインはイラクの原油価格について、輸出先がEU、インド、中国であり、アメリカは対象となっていないということもあって、USドルに代わってユーロで定めると発表した。この決定はイラク戦争後に元に戻された。

アイスランドの外相バルゲルズル・スベリスドッティルは2007年1月15日にインタビューで、EUに加盟はしないもののユーロ導入の是非については検討したいと述べている。同外相は欧州経済領域の小規模な経済圏においては独自の通貨を維持していくのは困難であるとの考えである。

非ユーロ圏のEU加盟国

 ユーロ圏

 ERM-II対象国

 ユーロとの相場が固定されている通貨を持つEU加盟国

 ユーロとの相場が変動している通貨を持つEU加盟国

 ユーロとの相場が変動している通貨を持つEU非加盟国

 ユーロとの相場が固定されている通貨を持つEU非加盟国

 ユーロを使用しているEU非加盟の国・地域

デンマーク、スウェーデン、イギリス、ブルガリア、チェコ、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、ポーランド、ルーマニアの12か国は、ユーロを導入していないEU加盟国である。

デンマークとイギリスはマーストリヒト条約における例外規定の対象となっている。両国は政府決定、あるいは議会の議決または国民投票を実施することとされており、これらなしではユーロの導入を求められることはないとされている。スウェーデンにはこのような規定が設けられておらず、規定上は将来のある時点でユーロ導入が義務付けられている。しかし、EU側はスウェーデンに対してユーロ導入を強制する意図はないということを明らかにしている。

ERM-II対象国

2004年5月1日、この日にEUに新規加盟した国の10の中央銀行は欧州為替相場メカニズム (ERM-II) に組み込まれた。表1はERM-II の対象となった期日を示している。

表1 ERM-IIへの加入時期
加入日 備考
1999年1月1日 デンマークの旗 デンマーク デンマーク・クローネはユーロ誕生の1999年にERM-IIに加入した。このとき以降、クローネはユーロに対して±2.25%の範囲内で変動することとされている。
2004年6月28日 エストニアの旗 エストニア エストニア・クローンは1992年6月20日の再導入以降、ドイツマルクと相場が固定されていた。その後はユーロと固定されている。 (1EUR=15.6466EEK)
リトアニア リトアニア・リタスは2002年2月2日までUSドルと相場が固定されていたが、この日以降はユーロと固定されている。 (1EUR=3.45280LTL)
2005年5月2日 ラトビア ラトビアは2005年1月1日に国際通貨基金のSDRからユーロのみに対するカレンシーボード制となった。現在のラトビア・ラッツの変動幅はユーロに対して±1%とされている。
デンマーク

2000年9月28日、デンマークにおいてユーロ導入の是非を問う国民投票が実施され、53.2%が反対という結果になった。近年の1か月ごとに実施される調査[6]では、ユーロ導入を希望する割合が過半数を超えている。2007年、デンマーク議会はマーストリヒト条約上の4つの例外規定について、まず一部または全部の例外規定について国民投票を実施し、続いてユーロ導入の是非を問う投票を実施することの検討を開始した。

デンマークにおいてユーロが導入された場合のグリーンランドとフェロー諸島の対応は見通しが立っていない。両地域はデンマークの自治領であるが、EUの領域とはなっていない。フェロー諸島では、フェロー諸島のモチーフが印刷されたデンマーク・クローネ紙幣(フェロー・クローネ)が発行されており、グリーンランドでも同様の対応を実施することが計画されている。なお硬貨についてはデンマーク・クローネ硬貨が使用されている。

エストニア

エストニアは2010年1月1日のユーロ導入を目指している。クローンはユーロとの交換レートが固定されており、ほぼすべての商店では価格をユーロで表示し、国民も多くがそれを受け入れている。また切手もユーロ額面で印刷されている[7]。当初エストニアは2007年1月1日の導入を目指していたが、インフレーションに関する基準を満たさなかったため、2008年1月1日に延期されていた[8][9]が、その後さらに2010年1月1日に再延期された[10]。今後もこの期日はインフレ水準のために延期されることがあるという見方もある[11]。

ラトビア

ラトビアはユーロの導入について2010年から2012年までの実現を見込んでいる[12]が、当初は2008年1月1日の導入を目標としていた。これはインフレーションに関する問題のために延期を余儀なくされたためである[13]。

リトアニア

リトアニアは本来、2007年1月1日をユーロ使用開始の目標日に設定していたが、インフレーション率が許容限度を超えていたために欧州委員会によりこれを拒否された[14]。2006年12月、政府は新たな収斂計画を承認し、その中で政府はできるだけ速やかにユーロ圏入りを果たしたいとしているものの、2007年から2008年にかけてインフレーションが進むと見込まれるため、ユーロ導入は2010年以降が望ましいとしている[15]。2007年1月に発表された世論調査によると、ユーロ導入に反対という意見が賛成意見を上回るという結果が出ていた[14]。

ERM-II非対象国

ブルガリア

ブルガリアは2007年夏までにERM-IIへの参加を計画していた[16]が、高いインフレーション率と経常収支赤字のために延期され、参加実現は2009年初頭ごろまでないと見られている[17][18]。

ブルガリア・レフは1997年以降はドイツ・マルクと、1999年以降はユーロと為替レートが固定されており、またブルガリアはすでに経済通貨統合 (EMU) 参加基準の大部分を満たしている。これにより、2011年1月1日のユーロ導入が計画されている[19]。ただし、ブルガリアはまだERM-IIに参加していないため、期日は延期になる可能性がある。

チェコ

2004年のEU加盟以降、チェコはマクロ面での経済情勢を他のEU各国にあわせる財政・通貨政策をとってきた。現時点で最も大きな問題は巨額の財政赤字である。元来、チェコは2008年か2009年のERM-II入りを目指してきたが、現政権は経済水準を満たす見通しが立たないとして、目標期日を2010年としている。ユーロへの切り替えは早くて2012年になる見込みとなっている[20]。

ハンガリー

ハンガリーはもともとユーロの導入を2010年1月1日に計画していたが、莫大な財政赤字のために断念されている。現在の計画では2008年中頃にロードマップを作成するとして、導入の目標日程を定めていない[21]。

現実的には、ハンガリーのユーロ圏入りは財務状況が好転する見通しが立たず、困難であるとされる。現状、毎年の収支の赤字額はGDPの6%に上り、公債発行額もGDPの69%に上っている[22]。またその発行増加率もGDP成長率を上回っている。

ポーランド

ポーランドは「EUの総合的政策の一環 (part of the EU package) としてユーロ導入が義務付けられているが、大統領レフ・カチンスキは導入に際して国民投票を実施したいと述べている。厳密にはポーランド国民はEU加盟の是非を問う国民投票において、すでにユーロ導入に賛成を示しており、77%の大多数が賛成票を投じていたが、この投票は同時にEMU加入を問うことも含まれていたのである。欧州委員会委員ホアキン・アルムニアはポーランドに対してイギリスとデンマークと同様のEMU例外規定はないということを確認した。世論調査ではポーランド国民の多数がユーロを自国通貨とすることを望んでいる。

2006年5月、ポーランド政府はユーロ導入の目標期日を2012年1月1日に設定した。

ルーマニア

ルーマニア政府は2014年までのユーロ圏入りを計画していることを表明した。また2012年までにERM-II基準を達成するとしている[23]。欧州中央銀行総裁は2007年6月に、ルーマニアは多くの課題を抱えており、ERM-II参加までには長い年月を要するとの見通しを示した[18]。

将来においてユーロ導入の際にATMにユーロを使用できるようにしておくため、2005年に新ルーマニア・レイが導入された(10,000旧レイを1新レイとするデノミネーション)ときに、新紙幣をユーロ紙幣と同じ形で発行した。旧レイ紙幣はユーロ紙幣に比べてかなり幅が大きかった。

スウェーデン

スウェーデンに対しては、いかなる議定書や条約においても特例が設けられていない。しかしスウェーデンはEUでユーロが導入されても自国では使用しないことを1997年に決定しており、求められていた為替相場の安定基準の達成に努めていなかった。

1994年11月13日にスウェーデンにおいてユーロ導入に関する最初の国民投票が実施された。この国民投票はEU加盟条約の批准を問うものであったが、ユーロ導入はこの加盟条約において欠かせない規定であった。結果53%が賛成票を投じ、同時にユーロ圏入りが承認された。ところがスウェーデン政府は、共通通貨を導入するか、またその時期についてはスウェーデン議会が決めるということを、1994年8月11日のEU加盟を提唱するさいに一方的に宣言した。その後1997年にスウェーデン議会はEUでのユーロ導入当初はこれに加わらず、時間を置いて導入することを決めた。

ユーロ導入を諮る国民投票が2003年9月14日に実施され、結果、賛成42.0%、反対55.9%とユーロ導入を拒否することになった。これを受けて各政党は投票結果を当面の間は守り続けると表明し、ユーロ導入の決定は先送りされた。政府系調査期間の定例調査では、世論はユーロに対して消極的になっている[24]。これとは対照的にEUの調査"Eurobarometer"では、ユーロに対する支持が2003年では41%だったものが、2006年には51%となっている[25][26]。

スウェーデン元首相ヨーラン・ペーションは在任中の2004年9月に、スウェーデンのユーロ導入は2010年の総選挙まではありえないと述べている[27][28]。この見方はフレドリック・ラインフェルト政権も共有しており、ユーロ導入に関して消極的な姿勢を見せている。このためスウェーデンにおけるユーロ導入は2015年まではないということがほぼ間違いなく、世論調査でも消極的な態度が見られることを念頭においても、かなり先のことになると見られる[29]。

Foretagarnaの調査では、スウェーデン企業の60%が、ユーロ圏入りしていない今の状況は不利益であると考えている。スウェーデンの企業団体の代表であるAnna-Stina Nordmark-Nilssonはスウェーデンのユーロ圏入りを求めている。

スウェーデンがユーロを当面導入しないという決定はEUにおいて広く認められている。スウェーデンは1995年にEUに加盟しており、1992年に締結されていたマーストリヒト条約における例外規定の適用を受ける機会がなかったという事情のためである。しかし1995年にはユーロはまだ存在しておらず(紙幣・硬貨の流通は2002年から、法定通貨としても1999年から有効となっている)、このため欧州委員会はそれまでにスウェーデンのユーロに関する取り組みについて法的強制力を持つ行動をとっていなかった。しかしスウェーデンのような動きをほかの新規加盟国が見せた場合は、これを許容していないにもかかわらず、スウェーデンに対しては許容しているということについて懸念の声が上がっていた。

イギリス

ゴードン・ブラウン政権はユーロ導入に際して3つの承認手続きを行うことに注力している。すなわち、内閣における承認、議会における承認、有権者による住民投票である。しかし政府は住民投票の実施に消極的であるということを考えると、近い将来において欧州通貨に関する住民投票の実施は現実的ではない。

ユーロを欧州の政治的統合に関して不可欠な要素と見ている他のヨーロッパ諸国と違い、イギリスではユーロ圏に参加する利益を主に経済的なものとして見る傾向が強く、イギリスの参加に関する「5つの経済テスト」に基づく評価報告が、財務大臣在任中のゴードン・ブラウンにより2003年6月9日に発表された。

政府はユーロ導入に積極的な姿勢を保っているにもかかわらず、5つの経済テストのうち4つが基準を満たしていないとして、報告書ではユーロ導入を認めるべきでないとした。ブラウンは2003年6月に、イギリスの単一通貨参加の際の交換レートについて、1ユーロ=約73ペンスであると述べており[30]、このレートは両者の価値が対等なものではないことを示している。なおこの交換レートはイギリスのユーロ圏入りの際の正式なものではない。

世論調査では市民の大多数がイギリスのユーロ導入に反対している[31]。その意見としてイギリスの政治的・経済的主体性を失うというものがあり、また別の意見としては、慣れ親しんだポンドから切り替えられるということが考えられないというものもある。このため当面は住民投票が実施されるという可能性は除外される。

ポンド地域

仮にイギリスがユーロ圏入りしたとなると、これによりUKポンドと等価のポンドを使用するポンド地域の法的な扱いにおいても影響が及ぶことになる。

王室保護領では、マンクス・ポンド(マン島)、ジャージー・ポンド(ジャージー島)、ガーンジー・ポンド(ガーンジー島)、オルダニー・ポンド(オルダニー島)といったポンドスターリングが使用されている。これらはすべてISO 4217コード "GBP" が割り当てられている。

海外領土の一部ではUKポンドと地元通貨の交換レートを1:1に固定している。ジブラルタル・ポンド(ジブラルタル)やフォークランド諸島ポンド(フォークランド諸島)、セントヘレナ・ポンド(セントヘレナ島)がそれらである。

フランスの海外領土もフランスがユーロを導入した際に同様の状況に直面した。フランス・フラン自体を使用していたこれらの地域ではユーロに切り替えられた一方で、一部の海外領土ではCFPフランを使用していた。これらはフランス・フランと相場が固定されていたものの、等価ではなかった。実際に、さまざまな歴史的理由のためその貨幣価値はかなり低く、それぞれのフランはフランス本土のフランに換算するとおよそ0.05フラン(5サンチーム)ほどであった。CFAフラン、CFPフランはいまだ存在しているが、フランス・フランの代わりに現在ではユーロと相場が固定されている。この固定相場と海外領土のフランの自由兌換性はフランス国庫による支出でもって維持されている。同様の状況はコモロ・フラン(コモロ)にも当てはまり、現在の相場はユーロと固定されている。

このためポンド地域においては以下の4つの意見が存在している。

  • EU非加盟国としてユーロを導入する、あるいはモナコやバチカンなどと同様に各地独自のユーロを作成する。 EUは独自のユーロ硬貨を発行したいとする非加盟国に対して通貨協定の締結を求めており、アンドラはこの協定の締結が完了していないため独自のユーロ硬貨を発行していない。EUの主張する通貨協定ではEUの金融、財政に関する規則の厳守が求められる。
  • イギリス、あるいはほかのユーロ圏諸国が発行するユーロ硬貨を使用する。 この案は通貨というそれぞれの地域の独立性のシンボルを喪失するととらえられかねないとされている。
  • 既存の通貨を維持する一方でユーロと相場を固定する。 為替市場の参加者の動きに反して固定相場を維持するには非常に費用がかかり、暗黒の水曜日の再来を招きかねない。しかし小規模な国や保護領ではたとえ投資家の目標になっても相場の急落にはつながりにくく、これらの通貨の保護にかかる費用はイギリスにとってはたいした額ではないため、投資家の過熱的な行動が成功することはほぼありえないと見込まれている。
  • 変動通貨、あるいはユーロ以外の通貨と相場が固定された通貨を導入する。 ジャージー島政府はこの案を検討している[32]。

ジブラルタルは事情が異なり、イギリスの一部としてEU領域に含まれている。仮にイギリスがユーロを導入していたならば、ジブラルタルに対する例外規定の適用はできなかっただろう。ジブラルタルはイギリスの一部として欧州議会選挙を実施しているため、独自の住民投票の決定に従うか、あくまでもイギリスの一部として、イギリスで行う住民投票の決定に従うかは不透明な状況である。

連合構成国の紙幣

現在、スコットランドと北アイルランドの民間銀行は独自のデザインのポンド紙幣を発行することができ、これらの地域の住民の多くは独自デザインの紙幣を地域のアイデンティティとして見ている。

イギリス政府が既存のEU法令の適切な緩和について交渉することができなければ、イギリスがユーロを導入してからはこれらの紙幣の発行ができなくなる。現行制度では欧州中央銀行のみが各国中央銀行に対して紙幣の発行を認めており、すべてのユーロ紙幣はユーロ圏全体で基準が統一されているため、各国内での派生的な紙幣発行は不可能となっている。

国内で独自の形態が認められているのはユーロ硬貨のデザインであり、ロイヤルミント(王立造幣局)はイギリスのユーロ貨幣の鋳造にあたっては、当代の国王の肖像は含めなければならないが、地域ごとにそれぞれのシンボルを含めたデザインのものを発行することができる。

通貨切替を行っていないEU加盟国のユーロ導入

2004年以降の新規加盟国は収斂基準を満たせば直ちにユーロを導入することとされている。このような新規加盟国に関して、単一通貨はEU加盟の際の条件の一部 (part of the package) となっており、イギリスとデンマーク以外は例外が認められることはない。

この新規加盟国のうちすでにキプロスとマルタ、スロベニアはユーロに切り替えられているが、残る9か国のEMUの第3段階への移行とユーロ導入の日程は、ブルガリア、ラトビア、リトアニア、エストニアは2010年初頭、ポーランドは2012年、ルーマニアは2014年が予想されている。チェコの移行は2010年1月1日に設定されていたが、経済情勢のため実現は不可能になった。新たな日程は設定されていないが2012年までに移行されることが見込まれている。ハンガリーも2010年の目標日程が断念され、新たな予定は設定されていない。

2006年5月16日、欧州委員会はスロベニアに対して新たなユーロ圏国になるよう求め、2007年1月1日にユーロに切り替えた。EMU体制に完全に移行する能力を示すことは「優良な加盟国」の必須条件のひとつである。欧州中央銀行と欧州委員会は2年ごとに報告書を作成し、そこで非ユーロ圏のEU加盟国の経済やその他の状況の分析をまとめ、ユーロ圏入りの適正を報告している。2004年加盟の10か国を含めた報告書が2004年10月に初めて作成された[33]。欧州中央銀行制度(ESCB) のなかで最も重要な位置づけをされているドイツ連邦銀行はユーロ圏の急激な拡大を批判している。

ユーロと相場を固定している通貨を持つEU非加盟国

カーボベルデのカーボベルデ・エスクードはかつてポルトガル・エスクードと、ボスニア・ヘルツェゴビナのコンヴェルティビルナ・マルカはドイツマルクと、フランスの旧植民地で使われているCFAフラン、コモロ・フランおよびフランスの太平洋地域の領土で使われているCFPフランはフランス・フランとそれぞれ相場が固定されていたが、現在はユーロと相場が固定されている。

ユーロの影響を受ける住民

類型 人口 国・地域
ユーロ圏 3億2800万人 オーストリア、ベルギー、キプロス、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペイン
ユーロを使用しているヨーロッパの国・地域 270万人 アンドラ、コソボ、モンテネグロ、モナコ、サンマリノ、バチカン
ユーロと相場を固定、または変動幅を制限しているEU加盟国 2100万人 ブルガリア、デンマーク、エストニア、ラトビア、リトアニア
ユーロと相場を固定しているEU非加盟国 400万人 ボスニア・ヘルツェゴビナ
CFAフランを使用しているアフリカ諸国 1億1000万人 ベナン、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ、チャド、コートジボワール、赤道ギニア、ガボン、ギニアビサウ、マリ共和国、ニジェール、コンゴ共和国、セネガル、トーゴ
CFPフランを使用している太平洋上の海外領土 50万人 フランス領ポリネシア、ニューカレドニア、ウォリス・フツナ
上記以外でユーロとの相場を固定している国・地域 3500万人 カーポベルデ、コモロ、モロッコ
合計 4億9600万人 44か国5地域

圏内のインフレーション率

  • 1999年中ごろ - 1%
  • 2000年中ごろ - 2%
  • 2001年中ごろ - 2.8%
  • 2002年中ごろ - 1.9%
  • 2003年中ごろ - 1.9%
  • 2004年5月 - 2.5%
  • 2005年5月 - 1.9%

財政政策

EU内の財政政策の調整に関する主な手段は、EUの全加盟国を対象とし、中でもユーロ圏13か国についてはとくに言及をしている総合経済政策ガイドライン (Broad Economic Policy Guidelines) に規定されている。このガイドラインは拘束力を持たないが、経済構造が連携しているということを考慮して、EU加盟国間での政策調整を企図している。

通貨の相互保証と安定性のために、ユーロ圏諸国は安定成長協定 (Stability and Growth Pact) を尊重しなければならず、この協定は赤字額や国債発行に上限を設け、違反に対しての制裁規定を定めている。協定ではもともとユーロ圏各国に対して毎年の赤字額の上限をGDPの3%と設定し、この額を超過した国には罰則金を科すとしていた。2005年、ポルトガル、ドイツ、フランスがこの制限を破ったが、欧州連合理事会は罰則金を科さないという表決を下した。この結果、より柔軟性を持ち、赤字額の基準を加盟国の経済情勢やそのほかの要因を考慮することを含む改定が採択された。

脚注

  • ^ 英・Convergence criteria - 駐日欧州委員会代表部による解説
  • ^ モナコ・サンマリノ・バチカン・アンドラとの通貨協定 EUポータルサイト"Europa" (英語、ほかドイツ語、フランス語、スペイン語)
  • ^ Hans H. Boldt, Sant Julià de Lòria Andorranische Euros nicht zu jedem Preis Andorra-Intern 2006年11月15日 (ドイツ語)
  • ^ Cuba to adopt Euro in foreign trade 英国放送協会 1998年11月8日 (英語)
  • ^ US row leads Syria to snub dollar 英国放送協会 2006年2月14日 (英語)
  • ^ Dagbladet Børsen Meningsmålinger 2007年4月7日 (デンマーク語、PDF形式)
  • ^ Estonian manor halls. Taagepera/361-16.08.06 エストニア郵政 - 額面がユーロで表示されている切手の画像
  • ^ Government: We must be technically prepared for the adoption of euro on 1 January 2008 エストニア銀行 2006年4月27日 (英語)
  • ^ Estonia's National Changeover Plan エストニア銀行 (英語、ほかエストニア語)
  • ^ Non, nein, no: Europe turns negative on the euro タイムズ 2006年12月31日 (英語)
  • ^ Estonia raises inflation forecast, further dimming euro entry Budapest Business Journal 2007年3月21日 (英語)
  • ^ Latvia might adopt Euro between 2010 and 2012 - Minister フォーブス 2006年12月4日 (英語)
  • ^ Inflation will delay euro adoption in Latvia: Standard & Poor's EU business 2006年3月8日 (英語)
  • ^ a b Lithuanians Divided on Euro Adoption Angus Reid Global Monitor 2007年1月2日 (英語)
  • ^ Adoption of the Euro in Lithuania リトアニア銀行 2007年1月3日 (英語)
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  • ^ Matthew Tempest Britain not ready to join euro ガーディアン 2003年6月9日 (英語)
  • ^ Joining The Euro Ipsos MORI (2006) - 単一通貨導入に関する意識調査 (英語)
  • ^ What should the Island do in the wake of Jersey’s curve ball? PDMS 2003年9月1日 (英語)
  • ^ Convergence Report 欧州中央銀行 - リンク先で22言語から選択可能、いずれもPDF形式。
  • 関連項目

    • 欧州連合の経済
    • 欧州中央銀行
    • ユーロ
    • 経済政策
    • 欧州連合加盟国の特別領域

    外部リンク

    • ユーロと経済通貨同盟 - 駐日欧州委員会代表部による
    • EUにおける通貨統合 - 外務省による
    • Eurozone Watch (英語)
    変更履歴
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