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モラル・ハザード
モラル・ハザード(moral hazard)とは、以下の二つの意味がある。
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プリンシパル・エージェント
「プリンシパル・エージェント関係」において、エージェントの行動について、プリンシパルが知りえない情報があることから、エージェントの行動に歪みが生じ、効率的な資源配分が妨げられる現象を指す。
医療保険の場合、個人が医療サービスを受ける際の自己負担が軽いために、ちょっとした病気でも医療を受けたり、医師が不必要に多くの薬を患者に与えて診療報酬を増やそうする問題が生ずる。これらは、医療保険における医療サービスの需要側と供給側の情報の非対称によって生ずるモラル・ハザードといえる。こうした現象をモラル・ハザードという。
保険におけるモラル・ハザード
本来は保険業界で使われていた用語である。保険によって危険を回避できるという事実が、被保険者の損害回避行動を阻害するという現象をさす。例えば。保険契約において、危険回避のための手段や仕組みを整備することにより、かえって人々の注意が散漫になり、危険や事故の発生確率が高まって規律が失われる事などが相当する。また、金融においては、セーフティネットの存在により、金融機関の経営者、株主や預金者等が、経営や資産運用等における自己規律を失うことを指す。
「保険をかけたために、注意義務を怠り、結果として火事のリスクが高まる」などのリスク回避を疎かにする事をモラール・ハザード(morale hazard)、「保険をかけておいて火をつける」などの意図的に事故を起こす事をモラル・ハザード(moral hazard)と分ける場合もある。
また、社会主義国で見られるような努力しても努力しなくても生活水準に変化や差があまり生じないので全体が怠けていくことの例えにも用いられる。
誤訳
この語を翻訳する際、直訳されたため「道徳的危険」と訳された。その際、よく用いられる保険の例えで、保険に加入して自らが火災を起こす事を保険金詐欺と捉え、節度を失った利益追求と誤った解釈がなされた。
情報の非対称を元に、プリンシパルがエージェントに不利益になる条件を与える方のモラルハザードは、社会や他者を考慮しない自己利益のみの追求と説明されたため、当たり前の経済活動を指す結果になってしまった。
誤用から容認へ
「モラル」の「ハザード」、つまり「倫理・道徳観の欠如・崩壊・空洞化」という用法は当初誤用として一部の識者が指摘していたが(「給食費を払わない親が増えたのは近年のモラルハザードによるものだ」等)、2003年11月13日、国立国語研究所による『第二回「外来語」言い換え提案』によって、モラルハザードは「倫理崩壊」「倫理欠如」「倫理の欠如」とする見解が示された。
ただし、本来「モラル・ハザード」という語は保険におけるリスク関連、および経済学の国際的な専門用語であり、この言葉が日本語圏においてのみ「倫理の欠如」という本来とは異なる概念で定着することはビジネスや国際コミュニケーションにおいて意思疎通の障害になり、利益を損なうという意見がある。
参考文献
- Varian, H. R., Microeconomic Analysis, New York, W. W. Norton & Co. Inc., 1978; 2nd ed., 1984.
外部リンク
- 現代政治用語辞典 Pol-Words NET
- 片仮名語の悲惨 モラル・ハザードと職業倫理の欠如(山岡洋一)
- 日本経済新聞掲載原稿(岡田斗司夫)--本来の定義とも上記の誤用や容認とも異なる解釈で用いられている例
モラル・ハザードの書籍検索結果
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日本企業モラルハザード史 (文春新書) モラル・ハザードは倫理崩壊か モラル・ハザード (カドカワエンタテインメント) モラルハザードへの挑戦―ある政治家・法律家の提言 労災保険とモラル・ハザード―北米労災補償制度の法・経済分析 |
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