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ネットカフェ難民
ネットカフェ難民(ネットカフェなんみん)は、いわゆるホームレスの一種で、定住する住居がなく寝泊りする場としてインターネットカフェを利用する人々を指した造語。
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名称について
端を発したのは、日本テレビのNNNドキュメント「ネットカフェ難民〜漂流する貧困者たち」(2007年1月28日放送 水島宏明ディレクター)である[1]。2007年前後から首都圏で増加していたワンコールワーカー(派遣会社に登録して携帯電話の電子メールで派遣先を紹介される雇用体系を利用した、日雇い労働)に従事する若者を紹介した本ドキュメンタリーの後、他のマスコミもこの言葉を引用することとなり次第に定着した[2]。2007年度新語・流行語大賞のトップテンに選ばれた[3]。
水島宏明は、「難民」という名称について「周囲から孤立し、未来への展望が抱けず、まるで難民のようだったため名付けた」[4]としている。また、「難民という語のインパクトが強かったため、世間の注目を集め、厚生労働省など政府も対応するために動いた」と述べている[4]。
一方、難民という語のイメージが悪いとして、業界団体 日本複合カフェ協会は、「ネットカフェでは、どのような方でもお客であると認識しており、難民とは考えていない。そもそも難民の定義に当てはまらない」と文書を発表、ネットカフェ難民は地域によってはいるかもしれないが、大きな社会問題ではないとの認識を示して、この用語に反対する声明を出している[5][6]。
概説
これまで過ごしていた自宅(実家やアパート)や寮を諸般の事情(家賃の滞納や家庭の事情など)で退去して、24時間営業のインターネットカフェや漫画喫茶で夜を明かし、ワンコールワーカー労働などで生活を維持している若年者を指す[7]。こういった日雇い派遣労働に従事する住所不定者の多くは、かつては木賃宿(ドヤ)などを生活の拠点としていたが、ネットカフェをその拠点とする若者が話題になり、マスメディア側で2007年頃から使用されている造語である。ホームレスの新たな形態をあらわす用語(サイバーホームレス)となっている。増加する非正社員という、日本経済の雇用実態の姿を映し出している。
2007年3月15日には参議院 厚生労働委員会での質疑で共産党所属の小池晃議員が、日本国内のネットカフェ難民の実態を調査をするように柳澤伯夫厚生労働大臣(当時)へ質し[8]、同大臣は「可能かどうか検討したい」と答えた(質疑以前に、公的機関が調査した統計データはなかった)。
厚生労働省は2007年8月28日に初の調査結果を発表した。それによると、店舗への調査から推計される2007年時点でのネットカフェ難民の人数は5400人だったという。また、当初は若年労働者が中心であると想定されていたが、本調査では50歳や30歳代など幅広い年齢層にわたっており、性別は男性6割に対し女性が4割であるとされた。また雇用形態は非正規雇用が中心であるものの完全失業や正社員雇用も見られた[9]。
この厚生労働省の調査に対しては、以下のような指摘がある。
- NPO自立生活サポートセンター・もやいの事務局長は、週1〜2日のみ利用する路上生活者や、他業種の店舗を利用するものもおり、ネットカフェだけを取り上げるのは無理があるとしている。
- 調査対象となる従業員にとってセンシティブな調査であり、実態より少なくなっているのではないかとの意見がある[10]。
ネットカフェ難民にとって便利な施設等の充実
ネットカフェ・まんが喫茶
フリードリンク、居住性の向上、シャワールームの新設、ゲームソフトやDVDソフト、個室席、とりわけ仮眠を意識したリクライニングチェアやフラットシートの採用、コミックの充実なと同時に、深夜に長時間低額料金で利用できる「ナイトパック」料金の設定などに加え、店舗数増加による競合もあり、利用しやすい存在となったことが一番の要因として挙げられる。関東および安価なドヤがない地域では、ドヤや格安ビジネスホテルよりも安価な場合が多いネットカフェなどを仮眠の場として利用しやすくなっている。
一方、大阪・西成区のあいりん地区や、東京・台東区および荒川区の山谷、横浜・中区の寿町などでは、ネットカフェよりも安価なドヤがある。横になれる、風呂に入れるメリットがある反面、治安での不安要素があるなどの難点もある。また、格安なドヤはあいりん地区・山谷・寿町に集中し、他の地域では見つけにくい。ゆえに、仕事の関係でドヤが使えないケースもある。ドヤを選ぶ若者、ネットカフェを選ぶ若者、また深夜をまたいだ仮眠のできる健康ランドやサウナを選ぶ若者それぞれである。格安コインロッカー
身の回りの荷物の収納を長時間低額で使用できるコインロッカー。 物置代わりに利用できる。
比較的安価な飲食店・食品店・雑貨店
学生街などにはもともと安価な定食屋が存在していた。同時に、安価な定食店や牛丼店のチェーン店拡大、SHOP99に代表される格安コンビニや100円均一ショップなどで、生活に必要なものが手軽に安価に手にできる。
携帯電話
携帯電話は出発コール(出勤・現場到着報告)・終了コール(勤務終了報告)・新規派遣先の前日確認などに利用する人がいる。 2000年代になってから、携帯電話の月々の支払い明細書を電子メールで送付するサービスを実施している携帯電話事業者(NTTドコモの「eビリング」など)があるので、住所不定の人物でも契約時に現住所と身分証で契約を済ませていれば後にネットカフェ難民に属した場合でも携帯電話は維持し続けることはできる(以前は契約住所に支払い明細書の郵便物が届かず返送される場合は即座に利用停止にされ、後に改善されない場合は契約解除となっていた。)また、プリペイド式携帯電話の場合でも、申込書に固定電話番号(または他の携帯電話番号)と住所の記載を求められるなど契約審査が厳格化しており、免許証等の提示だけは簡単に購入・契約できない場合もある。
ネットカフェ難民の生活
日雇い派遣では家賃・光熱費など数万円のまとまったお金がとても作りにくい。毎日仕事に入れるとは保証できない上、日払いの賃金がその日暮らしを維持することだけに使われる。ネットカフェを宿泊施設替わりの休息の場にする他、フリードリンクを利用して糖分・カロリーの確保の場、テレビ・PC・漫画など最低限度の文化や情報に接する場として利用する。
日雇い派遣労働の求人がなく、仕事を得られなかった場合には、ファーストフード店の24時間営業店舗で夜を明かす人々もおり、彼らを指す「マック難民」なる造語も2007年頃より使用されている。つまり、寝泊りする場所はネットカフェのみに限らない[11]。
「住所不定」となることによる問題点
住所不定の状態が長期にわたる場合、職権消除により住民票が抹消される可能性がある。この場合、新規の移転先が存在しないため住民票の復活が出来ずホームレスと同様の問題を抱える。職があり、所得があっても、新規に銀行口座の開設ができない[12]。住民基本台帳への登録がないため、印鑑登録もまた出来ず、実印をともなう高額の契約(賃貸住宅の借入契約、自動車や住宅の購入など)は通常契約相手に拒否される[13]。クレジットカードや消費者金融などの契約時に信用調査で契約を拒否される可能性がある[14]。
新たに運転免許証を取得する事が出来ない。すでに運転免許証を取得している場合、運転免許証の更新には送付された更新通知書を提示するように指示されているが、これは必ずしも必須ではない[2]。しかし職権消除により住民登録が抹消されている場合は、法的に「住所」が変わっている場合に相当するため、証明書類の提出を要する[3]ことから書類不備として受理されず「住所がないので更新できない」事態が発生する[15]。 ここまでの状況から、ネットカフェ難民も種々の場で通用する身分証明を取得できる手段は事実上限られてしまい、何らかのきっかけで携帯電話契約の内容更新をする際、身分証明・本人確認ができないという理由で携帯電話事業者から回線一時停止等の不利益を被る可能性が出てくる。ここで携帯電話回線を失ってしまった場合、社会的な関係すら一切絶たれてしまう重大な危機に瀕することになる。
疾病などにより就労が困難になった際に生活保護申請でトラブルになる可能性がある[16]。選挙人名簿は住民基本台帳を基に作成されるため、職権消除されて相応の期間が経った後は選挙権を実質的に喪失してしまう[17]、など公共サービス受益権や公民権にかかわる障害の原因となる。
ネットカフェ難民と治安問題
インターネットカフェの匿名性に関わるインターネット犯罪との関連において、ネットカフェ難民の犯罪被害、あるいは犯罪行為が報道されることがある。また万引き商品を転売する舞台として、あるいは置き引き被害の温床となっているとの報道がある。
- ネットオークションを利用して、イベントチケットを転売するという、ダフ屋行為で儲けているネットカフェ難民が存在する[18]。
- ゲームソフトやDVDを万引きして転売する、窃盗行為に手を染めるネットカフェ難民が存在する[19]。
- ネットカフェは施錠されないため、利用者を対象とした窃盗などの犯罪行為を行う者がいる[20]。
業界団体の取り組み
日本複合カフェ協会ホームページにて、地域若者サポートステーションなどを紹介するなど、業界団体でも定職探しのサポートをはじめた。
一方で、「住居喪失不安定就労者の実態に関する調査」(厚生労働省実施)への調査協力依頼は、拒否した[5]。
対策
- 東京都は08年度、全国の約4割を占める都内のネットカフェ難民に対し賃貸住宅の入居費用などを無利子で貸し付ける支援に乗り出すことを決定した。[21]
脚注
関連書籍
- 『ネットカフェ難民―ドキュメント「最底辺生活」』(幻冬舎新書) ISBN 4344980549
- 『ネットカフェ難民と貧困ニッポン』(日本テレビ出版)[1]
関連項目
- インターネットカフェ
- 格差社会
- 非正規雇用
- フリーター
- 日雇い
- 労働者派遣事業
- ワンコールワーカー
- ワーキングプア
- ホームレス
- 車上生活者
外部リンク
- 日本複合カフェ協会
ネットカフェ難民の書籍検索結果
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ネットカフェ難民と貧困ニッポン (日テレノンフィクション 1) (日テレBOOKS―日テレノンフィクション) ネットカフェ難民―ドキュメント「最底辺生活」 (幻冬舎新書) ルポ 最底辺―不安定就労と野宿 (ちくま新書) 現代の貧困―ワーキングプア/ホームレス/生活保護 (ちくま新書) 派遣のリアル-300万人の悲鳴が聞こえる (宝島社新書) |
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