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スタグフレーション

スタグフレーション(stagflation)とは経済現象の一つである。stagnation(停滞)、inflation(インフレーション)の合成語で、経済活動の停滞(不況)と物価の持続的な上昇が共存する状態を指す。

目次

  • 1 概要
    • 1.1 供給ショック
    • 1.2 物価賃金スパイラル
    • 1.3 景気後退と通貨価値下落の重合
    • 1.4 税制上の要因
  • 2 発生のプロセス
  • 3 歴史
  • 4 脚注
  • 5 関連項目
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概要

通常は物価上昇(インフレーション)と景気後退とはトレードオフの関係にあると理解されており、フィリップス曲線にみられる実証研究によりその有意性には一定の評価がある。しかしスタグフレーションでは、景気が悪化するとともにインフレーションが進行する。インフレーションは景気回復局面で発生すれば雇用や賃金の増加もともなう。デフレーションは景気後退局面で発生すれば雇用・賃金は減少するが物価は安くなる。しかしスタグフレーションは雇用や賃金が減少する中で物価上昇が発生し、貨幣や預貯金の価値が低下するため生活が苦しくなる。

スタグフレーションにはいろいろな要因が指摘されている。

供給ショック

インフレーションに対して、商品供給の増加が追い付かず対処できない場合に起こる。具体的には農産物の凶作や原油価格の高騰などにより従来の生産設備や生産工程に行き詰まりが発生し、生産調整に伴う失業の増大とともに供給能力が低下することでインフレーションが加速する。1973〜1974年の第1次オイルショック、1979年の第2次オイルショックでは多くの先進国がスタグフレーションに悩まされた。1980年代に入って石油価格がほぼ半値まで低下して、スタグフレーションから脱却することに成功している。生産設備や生産工程の見直し、省エネルギー運動もその一因である。

物価賃金スパイラル

労働運動などを要件に恒常的・定例的な賃上げが不況下で行われる場合[1]。あるいは賃金・価格統制が解除されることで賃金・物価がキャッチアップインフレを起こす場合[2]。

景気後退と通貨価値下落の重合

不況下で、実効為替レートの低下など通貨価値が下落する場合[3]。あるいは大量の累積国債により市中金利が高い(期待インフレ率が高い)場合。

税制上の要因

累進課税下でのコストプッシュインフレは増税に機能する、また企業の減価償却費の実質価値を減価させる。この要因から消費・投資行動に抑制的バイアスが働く[4]。

発生のプロセス

経済のダイナミズムから見れば、スタグフレーションは経済上の資源を過剰に使用して経済成長した場合にバランスをとるために発生する。

  • 何らかの外的ショック(たとえば原油価格の高騰)によりコストが増大する。
  • 利益を圧迫された企業は生産調整を図る。
  • 需要が旧来のトレンドを描く中で、供給が減少するため物価上昇が加速する。
  • 物価上昇が加速することで需要量が減少し供給とマッチする。
  • 通常の景況悪化と違い、需要よりも先に供給能力が低下(そのために物価が上昇しても供給の増大によって対処しえない)することが特徴である。

    そのため、通常の景況悪化=「物価下落と不況」ではなくスタグフレーション=「物価上昇と不況」ということになる。

    どちらにしても、需給がバランスへむかうプロセスであることは変わらない。

    また、スタグフレーションが発生するとフィリップス曲線は右上がりとなる。

    歴史

    1970年代前半の石油価格高騰では工業生産の停滞が起き石油の需要にはブレーキがかかったが、労働需要にもブレーキがかかり過剰雇用→失業増大を招いた。

    ただし日本は1970年代末、多くの先進諸国が第2次オイルショックでスタグフレーションに陥る中、ほとんど影響を受けず1980年代の好景気へ入っていった。これは産業の合理化、円高ドル安進行による実質石油価格の抑制、第1次オイルショックでの過剰な調整による余力が原因と見られる。

    また、1980年代はその初頭にふたたび石油価格が上昇してスタグフレーションを招いたが、その後は逆に石油価格がほぼ半値まで下落し「物価安定と好景気」が先進国を活気付けた。

    2008年、サブプライムローン問題に端を発した米国不景気から資金が原油市場に流れて原油高となり、その結果各種コスト高から物価が上昇し、スタグフレーションとなることが現実味を帯びてきた。日本銀行の白川方明総裁は、同年5月27日に開かれた参議院の財政金融委員会で日本がスタグフレーションに陥るおそれがあるとしたが、7月17日の会見ではスタグフレーションの発生を否定する認識を示している。

    2008年夏には原油価格の高騰はやや鈍ったものの、物価の上昇には歯止めがかかっておらず、スタグフレーションが目前に迫ってきた。

    脚注

  • ^ スタグフレーションについて 中谷武(神戸大学学術成果リポジトリ)[1]
  • ^ アメリカにおける大スタグフレーション 西村晃(同志社アメリカ研究)[2]
  • ^ 現代変動相場制分析 佗美光彦(経済学季報)[3]
  • ^ 現代におけるケインズ・マクロ経済学の再考 磯部智也(福祉社会研究)[4]
  • 関連項目

    • インフレーション
    • デフレーション
    • フィリップス曲線
    変更履歴
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